木走日記

場末の時事評論

国会議員の先生方にはゴキブリの状況認識能力の高さを見習ってほしい〜低すぎるこの国の政治の生産性を憂う

 今日は暴論気味のコラムであります。



●ゴキブリの目にはそれこそ人間の動作はスローモーションのようにみえているだろう〜あるロボット研究学者の話

 先日ロボット工学を長年研究している学者と会食した時の話です。

 彼は長年大学でいろいろな生物の動作を擬似化したロボットを研究してきました。

 水中での魚の動きを真似た「魚ロボット」や、陸上ならくねくね文字通り蛇行しながら移動する「蛇ロボット」から「四足ロボット」に人間の動きを真似た「二足歩行ロボット」、変わったところではたくさんの足の付いた「ムカデロボット」などなど。

 水平方向の動作はほぼモノにした現在のロボットの今後の課題(最も苦手な運動)は、垂直方向の動作なのだそうで、簡単な階段や梯子の上り下りが可能なロボットがようやく実現しつつあるようなのですが、その動作速度はまるでスローモーションのようなもたくたぶりでありまだまだ俊敏には動作できていないとか・・・

 彼に素人質問をぶつけてみました、「TVの「サスケ」などのような筋肉系番組の障害物競争やオリンピック競技に参加できるような優秀なロボットは将来誕生するだろうか」
 彼いわく「今後50年のレンジで考えればいくつかの単純な競技では間違いなく人間の持つオリンピック記録を凌駕するロボットは生まれることだろう、トラック競技やマラソン、それに砲丸投げ槍投げなどもいけるんじゃないかな。でも、瞬時の状況認識を必要とするサッカーや野球・バレーボールなどのチーム競技や、これも瞬時の重心バランス補正が必要な乗馬や体操やレスリングなどは、けっこう乗り越えなければならない技術的壁は高いと思う」

 なるほどなあ、素人ながらに感心している私に彼は興味深いことを教えてくれました。
 人間型ロボットの今後の発展もおもしろいが、もしかするとその前に壁や天井を自由に這い回る「ゴキブリロボット」のほうが先に誕生するかも知れないというのです。

 最近英国の研究者が、ゴキブリがやすやすと重力に逆らい自由に動き回ることができるそのなぞを一部解明した研究が発表されて、ロボット工学の研究者達から注目を集めているのだそうです。

 ゴキブリがなぜ嫌われるかと言えば、彼らがまことにすさまじい環境適応力を有していて、我等人間様の住居に侵入・かってに同居してしまう能力を持っている特異な昆虫であることであります。

 それだけでなく、その運動能力も抜群で、重力を無視したように床だけでなく壁や天井を自由に徘徊、しかも危機を感じたり必要ならばかなりの俊敏性と高速性で移動することができる、我等人間様の運動能力では退治したくてもなかなかできない、実にやっかいな同居人なのであります、あと個人的にはときに飛ぶのがなんとも恐怖なのでありますが(苦笑)。

 このロボット工学研究者に言わせれば、「ゴキブリは地球上の現在生息する生命体の中で、その3億年もの進化を経ての構造は完璧なまでに磨き上げられた、ロボット化を目指すにはかっこうのターゲットとなりうる、実に利用価値のある「完璧な素晴らしい生命体」なのだそうです。

 彼いわく「もしゴキブリロボットが実現したら、その多目的な用途は無限に広がるだろう」ということです。

 例えば、人間では不可能な環境における作業、配管内部の清掃とか、ビルメンテナンス管理、文字通りゴキブリしか移動できないような用途の作業ならなんでもござれ、極端な例では「原子炉」内部の監視や清掃とかも可能となるだろうというのであります。

 うーん、すばらしいです。

 実現するためには乗り越えるべき技術的ハードルもいっぱいあるのでしょうが、中でも何が大きな問題なのか、また素人質問してみました。

 彼はしばらく考えた後、「おそらく状況を認識しその上でなにが最適の動作かを判断し瞬時にその動作制御を正確に行う、ゴキブリの有するこの神がかりなスピードの実現だろうね」

 センサー等で状況の変化を認識する技術、その上でなにが最適の動作かを判断するロジックを実装する技術、目的の動作制御を正確に行う技術、個々の技術は実現可能性はあるが、これらをほぼ瞬時に実現するのは現在の技術力ではそうとうの難問なのだそうです。
 「それだけゴキブリというのは完全なる「生命体」だってことだね」

 おそらく最初のゴキブリ型ロボットが完成したとしても、初期型はカブトムシのようなスローな動きしかとれないだろうとのことでした(フフフ、カブトムシなら怖くないワイ(にやり))

 「ゴキブリはずば抜けた存在だ。あれだけな俊敏な運動能力を有しているということは、ゴキブリはものすごい高速な状況認識能力を有しているはずで、ゴキブリの目から見れば、のろまな人間の動作などはスローモーションのように映っているはずだろう」

 うーむ、その昔王監督だったでしょうか、調子がいいときは投手の投げる「ボールが止まって見える」そうですが、それと同じ感覚なんでしょうか。

 「おそらくゴキブリの1秒と人間の1秒の感覚はぜんぜん違うのだと思う。ゴキブリの1秒はのろまな人間の10秒ぐらいの情報量にあたるんじゃないだろうか、だとすれば、ゴキブリの目にはそれこそ人間の動作はスローモーションのようにみえているだろうねえ、もっとも僕は生物学者じゃないからゴキブリの視力がどんなものなのか知らないけどね」

 うーむ、おそるべしゴキブリさまなのであります。

 ゴキブリロボットの実現を祈りつつ、彼には「ゴキブリロボットが完成しても、怖いからハネだけはつけないでね」とお願い(苦笑)して、楽しい会食を終えたのでした。



●低すぎる政治の生産性〜思わず膝をたたいた秀逸な今日の日経コラム「大機小機」

話は変わりまして政治の話題。

 今日(20日)の日経紙面マーケット総合版のコラム「大機小機」を読んで、とても賛同して思わず膝をたたいたのでした。

 電子化されていないようなのでテキストをおこしてみました、読者にご紹介です。

低すぎる政治の生産性

 三十年前、日本はやはり福田政権だった。といっても福田康夫首相の父君の赳夫首相である。二人の福田首相の間に十五人もの首相がいた。竹下登首相が「歌手一年、総理二年の使い捨て」とざれたように首相の平均在職年数は二年弱だ。
 両福田も含め十七人の首相が、「一内閣一仕事」で、政権を懸けるに値する大テーマを一つずつ片づけていたら、日本は素晴らしい国になっていたはずだ。現実は、内閣はくるくる変われど、懸案の先送りが常態である。
 例えば消費税。将来にわたる福祉財源確保と、税の直間比率の是正の要請からその導入は早くから政治課題に上っていた。福田(父)首相の次の大平正芳首相が一般消費税導入を目指したが、総選挙で惨敗し頓挫した。消費税ができたのは三代後の竹下政権。十年近くかかった。
 バブルの後始末の銀行の不良債権処理もそう。公的資金導入を言い出したのは宮沢喜一首相で1992年だった。何とか片づいたのは七代後の小泉純一郎政権で。十年以上かかった。同じころにバブルが壊れた北欧諸国は三、四年で処理を終えた。日本は認知から実行までのラグがありすぎた。「失われた十年」はぐずな政治のせいだった。
 財政再建にいたっては、言い出したのがどの首相か忘れるほど古くからの課題だ。現状は、国と地方の長期債務の合計が国内総生産(GDP)の約1.5倍に膨らみ、なお借金が増えている。
 「政治は三流でも経済は一流」と言われ、90年代初めには一人当たりGDPが経済協力開発機構OECD)加盟国中トップクラスだった。それが十八位にまで落ちた。経済も一流ではなくなったと国会で閣僚が公言した。政治が足を引っ張ったのだ。
 人口が減り始めた日本が成長するには、いや、今の豊かさを維持するだけでも生産性向上が欠かせない。トヨタ自動車に代表される世界が相手の製造業の生産性は第一級だが、ほかは農業もサービス業も先進国では見劣りする。中でも生産性に一番問題があるのは政治ではないかと「ねじれ国会」の惨状を見て思う。
 日銀人事や揮発油暫定税率でのチキンレースにはあきれた。会期制をやめ通年国会にしてはどうか。採決強行やら審議拒否やら。衆参両院で同じ質疑をぐだぐだと。何とかならないか。必要なら国会法を改めよ。憲法に不備があるなら憲法だって。(手毬)


「大機小機」 日本経済新聞3月20日17面紙面より抜粋

 うむ、このコラムの手毬氏に全く同感なのであります。

 日本の政治はもたくたしすぎ、生産性が低すぎるのであります。

 ひとつのアウトプット(法案)を出力するのになぜかくも時間を無駄に費やしてしまうのか、財政再建にいたっては永遠にアウトプットを先延ばしにしてわざとこの国をつぶそうとしているとしか思えません。



●国会議員の先生方にはゴキブリの状況認識能力の高さを見習ってほしい!

 諸外国の政治家が1年で解決する問題にこの国では10年以上かかってしまうというのは、いったいぜんたいどういう理由からなのでしょうか。

 なんだか、諸外国のスピーディな政策立案を目の当たりにすると、まるで日本の国会はスローモーションのごとくの「ぐず」っぷりなのであります。

 ・・・

 煎じ詰めれば、この諸外国に比し低すぎるこの国の政治の生産性ですが、これは、政治家達の頭の回転が悪すぎる・遅すぎることに由来しているのかも知れません。

 能力が無くて本人達は一生懸命やってるつもりでも、はたから見るとすごく遅くスローモーションのように見えてしまうのかも知れません。

 なんだかゴキブリ様から見たのろまな人間様みたいな(苦笑

 ・・・

 この国の政治家たちは、1年の中で、1月の中で、1日の中で、どれだけ政策に知恵を絞っているのか、頭の回転が悪いならその分多くの時間をかけて問題解決に誠心誠意つとめなければなりませんが、そうした努力はなされているのでしょうか。

 頭の回転が遅いのなら仕方がありません。

 頭の回転が悪いならその分多くの時間をかけて問題解決に誠心誠意つとめなければなりません。

 国会会期を通年国会制にいたしましょう。

 手毬氏も申しております、「会期制をやめ通年国会にしてはどうか。採決強行やら審議拒否やら。衆参両院で同じ質疑をぐだぐだと。何とかならないか」でございます。

 この国の国会議員の生産性が低すぎるのならば、なんだったら365日通年国会にしたらどうでしょう。

 ・・・

 それがいやならば、ちっとはゴキブリ様を見習って状況認識能力を高めて頭の回転を早くしてほしいです。

 国会議員の先生方にはゴキブリの状況認識能力の高さを見習ってほしいです。
(↑なんのこっちゃ)

 ジャンジャン。



(木走まさみず)



<お知らせ>
 アンケートに参加いただき、ご協力ありがとうございます。
 もう少しサンプル数がほしいので今しばらくアンケート参加者をつのります。
 よろしくご協力をお願いいたします。

■[政治]「福田の無策」と「小沢の無責任」。あなたはどっちを批判しますか?アンケート
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20080319