木走日記

場末の時事評論

小浜市には悪いがオバマ大統領だと日本には経済的には悪影響がでる可能性があるというある共和党支持者の意見

 私のアメリカ人の友人であるスティーブ氏は、ボストン出身のいわゆるWASP(ホワイト・アングロサクソンプロテスタント)であります。

 政治的には共和党支持者であるスティーブ氏に今回のアメリカ大統領選におけるオバマ氏躍進の現象と、仮にオバマ氏が大統領になった場合の気になる対日政策について私見を聞いてみました。

■彼は実に「黒人」らしくない候補者
木走「民主党の候補者レースは希に見る大激戦の様相だが、それにしてもオバマ氏の躍進は目を見張るモノがある。彼の人気の秘密はどこにあると思う」
ティーブ「一にも二にも彼の人柄だろう。彼は実に「黒人」らしくない候補者であり、しゃべり方もその内容も、実に優雅(エレガンス)でありとても知的(インテレクチャル)でかつ簡潔な文章(シンプルセンテンス)はわかりやすい」
木「演説が非凡なようだ」
ス「ああ、中西部イントネーションといい、かっこいい(クールガイ)しね、またその発言内容も当初はより過激だったみたいだが最近は中道寄りの穏健さを身につけだして、実は私のような共和党支持者の中にもかなり彼を好意的に見ている層が増えている」
木「なるほど保守層にも支持を広げつつあるのか」
ス「日本人の君には説明しづらいが、彼の演説は実に心地よく彼の宗教観をにじませていて、安心感があるんだ。まあヒラリーは逆にかねてから過激な攻撃的発言が多くて、彼女だけは大統領にさせたくないという敵が多いわけだが、まったく好対照だ」



■伝統的に民主党は国内重視同盟国軽視政策を採る傾向にある
木「仮にオバマ氏がヒラリー氏を破って大統領になるとした場合、対日政策はどうなるのか」
ス「おいおい共和党候補を忘れてもらっては困るんだがね(苦笑) それはともかく、彼に具体的な対日政策は無いと思うよ。彼の著書にもアジアでは中国については触れているが、日本には全く触れていない」
木「民主党政権下でまた日本無視(ジャパンバッシング)政策が再現されると言うわけか」
ス「無視というほどの極端な政策はどうだろう。ただ伝統的に民主党はその支持基盤に多くの組合(ユニオン)を抱えているから、共和党政権に比べれば国内重視同盟国軽視政策を採る傾向にあるのは間違いないだろう」



■彼の政策の多くは大きな政府を目指すモノだから、ドル安円高傾向を生じる可能性がある
木「彼の経済政策、外交政策は具体的には日本にどう影響する?」
ス「ここが重要だが、彼にその気がなくても彼の政策は日本にとって経済的にはあまり好ましくない影響が出る可能性がある」
木「どういうことか」
ス「オバマ氏は、その公約で・低所得層の減税、・富裕層優遇税制の廃止、を強く主張している、つまり一貫して弱者重視の姿勢なんだ。この政策を実行されると、アメリカの市場は少なからず萎縮する可能性が危惧されている、また彼の政策の多くは大きな政府を目指すモノだから、アメリカの財政赤字も拡大しドルの信用は落ちドル安円高の傾向が今よりも顕著になる可能性も指摘されている。さらに彼は、貿易不均衡の是正も強く主張しているので、国内の雇用を奪うという論理で中国や日本に厳しく圧力をかけることも可能性としては高い」
木「うーん、つまり彼の政策自体がドル安円高傾向を生じる可能性があるのと、貿易不均衡の是正圧力が今よりも増すだろうということか」
ス「もっともヒラリーがなっても大差ないだろうがね」



共和党候補に大統領になってもらうことを祈ることじゃないか、小浜市には悪いけど
木「日本としてはどのような対処が求められるのか」
ス「とにかく今の日本の政府自民党共和党としか仲良くしていなくて、民主党とのチャネルがほとんどないのは痛いよね。早急に民主党とのチャネルを構築する必要がある。アメリカ政治は基本的には政治家個々人に対するロビー活動がとても重要なんだ」
木「福田政権にできるかな」
ス「無理だろうね、国内政局で汲々としているようだしね、アメリカ大統領選まで気を回しているとは思えない。日本にとって一番なのは、共和党候補に大統領になってもらうことを祈ることじゃないか、小浜市には悪いけどね(苦笑」
木「・・・」

 「共和党候補に大統領になってもらうことを祈れ」とは、あきれた強引な主張であります(苦笑

 もっともここで語られていることは一人のアメリカ人の私見であり、しかも共和党支持者からの目線であることを強調しておきます。

 私個人は、オバマ氏の正統リベラリズムとも言うべき政策がアメリカ市民に支持を広めていることは、ブッシュ政権下の新自由主義ネオコン政策のもたらした数々の矛盾に対する反動と捉えており、初の黒人大統領の誕生は決して日本にとっても悪い側面だけではないだろうと、期待を込めて見守っております。

 まあ、次期アメリカ大統領を心配するよりも、自分の国の政権を心配したほうがいい、というスティーブ氏の皮肉な指摘には日本人として同意せざるを得ませんでしたが・・・


 このエントリーが読者のみなさまの参考になれば幸いです。



(木走まさみず)



<参考サイト>
オバマ氏経済公約公式サイト
http://www.barackobama.com/issues/economy/