木走日記

場末の時事評論

「消費者庁」と「子ども庁」〜行政の一元化という美名の元に時代に逆行した行政機関の新設が横行する

●あ、アロマテラピー器具も忘れないでね(フンフン

 最初は出鱈目な与太話です。

 こんな首相がいたらどうでしょう。

秘書官「首相、新たに中国製冷凍かつから有機リン系殺虫剤「ホレート」が検出されたようです」
首相「うむ、いかんな、新設の「消費者庁」から関係部局をまとめて「冷凍食品庁」を開設する必要がある、関係者に指示しなさい」
秘書官「は。次に首相、イージス艦衝突事件で、野党・マスコミから防衛省並びに防衛大臣の責任追及の動きが急です、いかが対処しましょう」
首相「うーむ、いたしかたない、「海難事故対応庁」を早急に立ち上げなくてはいかん、関係省庁関係部局をまとめるよう指示しなさい」
秘書官「かしこまりました。首相、ところで武部勤党改革実行本部長が「(小泉)チルドレンはみんな守ってみせる。オーバーな表現ではない」と述べ、次期衆院選向けの公認調整で新人議員が冷遇されないよう支援する考えを示していますが、いかがいたしましょう」
首相「ふむ、チルドレンと言えば「こども庁」だな、早急に新設の「こども庁」から「小泉チルドレン庁」を分離独立させなさい」
秘書官「・・・あの連中は子供じゃないのでは(大汗」
首相「だまらっしゃい」
秘書官「ベオグラードの米国大使館などが放火された模様です」
首相「米国大使館保護庁」
秘書官「沖縄で米兵の犯罪が後をたちません」
首相「米軍基地周辺住民保護庁」
秘書官「各地のネットカフェでサービスや仕切りの違法が続発しています」
首相「ネットカフェ監督庁」
秘書官「各地のネットカフェで「ネットカフェ難民」の問題がマスコミで報じられています」
首相「じゃ、ネットカフェ監督庁からネットカフェ難民保護庁分割ね」

 ・・・

秘書官「えーっと、こんなに役所増やしていいのでしょうか」
首相「かまわん、「国民から見て便利な政府」実現の一環であある」
秘書官「首相のでたらめな行政手腕により財政赤字が極大化し、内閣支持率が暴落しています、いかがしましょう」
首相「じゃ、「内閣支持率対策庁」ならびに「内閣保護庁」を早急に併設」
秘書官「・・・は(絶句」
首相「あ、あと、国交省道路局から関係部局を独立、「首相官邸マッサージチェア庁」をすぐに創りなさい、役所を創りすぎて少々肩こりました」
秘書官「は、かしこまりました、カラオケセットとゲートボール用具も用意させましょう」
首相「あ、アロマテラピー器具も忘れないでね(フンフン」

 ・・・

 与太話はここまで。



●「消費者庁」と「子ども庁」〜行政の一元化という美名の元に時代に逆行した行政機関の新設が横行

 22日付け読売新聞記事から。

「子ども庁」創設を検討へ、幼保一元化施設の推進に狙い

 子ども庁は、幼稚園を所管する文部科学省と、保育所を所管する厚生労働省の関係部局を内閣府に集める構想で、その下で幼稚園と保育所を一元化した「こども園」を創設することが最大の狙いだ。

 ただ、「幼稚園と保育所は機能が違う」「行政機関の新設は行政改革に反する」などとした慎重意見も根強い。

 参院第1党の民主党は「子ども家庭省」の創設を唱えている。

(2008年2月22日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20080222ur03.htm

 今度は「子ども庁」だそうです。

 「幼稚園を所管する文部科学省と、保育所を所管する厚生労働省の関係部局を内閣府に集める構想」なのでありますが、どうにもこうにも、なんでこの時期にお役所を次々新設しなければならないのでしょうか、意図がよくわかりません。

 管理を一元化すれば行政サービスが向上するという保証があればまだ検討の余地があるのでしょうが、「消費者庁」構想の時も指摘いたしましたが、この国の行政において権限を一元化して効率的になりうまくいった例はどのくらいあるのでしょうか。

 失敗の例ならば社保庁や旧国鉄などごろごろしておりますが。

 ただ行政コストだけが膨らんでしまう無駄な役所が増えるだけならばこんなことに貴重な財源を使ってほしくはないわけです。

 「消費者庁」構想もそうですが、確かに「国民から見て便利な政府」(福田首相)が実現できるのはけっこうなことでしょうが、この幼稚園と保育所を一元化した「こども園」を創設することも、本当にそれがきめ細かい行政サービスにつながることになるのか、慎重の上にも慎重に検討していただきたいです。

 「消費者庁」に「子ども庁」、行政の一元化という美名の元に、実は時代に逆行した行政機関の新設が横行するとするならば、このような施策による行政の肥大化は看過できません。

 福田政権の「消費者重視」「国民重視」政策が、その目指す施策が、関連行政機関の新設であるとするならば、私は断固反対いたします、そのような余裕のある財政状況にあるのか、新たに発生する行政コストに見合う行政サービスが本当に実現するのか、慎重に議論していただきたいです。

 ・・・

 「消費者庁」に「子ども庁」、どこまで役所を増やせば気が済むのでしょう。



(木走まさみず)



<関連テキスト>
■[主張]「消費者庁」創設に断固反対する〜今この国に本当に必要なのは「生産者庁」のほうじゃないのか
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20080214/1202965526
■[行政]現状はまさに「道路特定財源」ではなく「国土交通省道路局特定財源
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20080215/1203054946