木走日記

場末の時事評論

次期長期本格政権を期待〜福田新政権には速やかに必要なタイミングでの解散・総選挙を望む

 福田さん日本国総理大臣ご就任おめでとうございます。

 日本国国民のためしっかりと「職責」を果たされることを祈念しております。

 ・・・

 はい、お祝いの言葉はこれでオシマイです(苦笑

 私は福田新政権には速やかに必要なタイミングでの解散・総選挙を望みます。



福田内閣支持率57%〜予想外に高い新内閣支持率に日本の民意の「けなげ」さを見た

 今日(27日)、福田新政権の支持率世論調査が各紙より示されました。

朝日新聞
福田内閣支持53% 「古い自民」56% 本社世論調査
http://www.asahi.com/politics/update/0927/TKY200709260416.html
【読売新聞】
福田内閣支持率57・5%、発足直後で4位…読売世論調査
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070926it14.htm
毎日新聞
福田内閣:支持57%、安定感を評価 本社世論調査
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070927k0000m010171000c.html
産経新聞共同通信)】
福田内閣支持率は57%
http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070926/shs070926006.htm
日経新聞
(9/26)福田内閣支持率59%・日経世論調査
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt215/20070926AS3S2602326092007.html

 例によって緊急世論調査のときしばしば他紙から出遅れる産経新聞なのでありますが、今回も共同通信調査を転載しておりますが、各紙の支持率、不支持率を表にまとめてみました。

メディア 支持 不支持
【朝日】 53% 27%
【読売】 57・5% 27・3%
【毎日】 57% 25%
【共同】 57・8% 25・6%
【日経】 59% 27%

 まあだいたい支持57%、不支持26%前後といったところでしょうか、今回はメディアによるばらつきはあまりないようですね。

 うーん、支持57%とは予想外に高い数字だと思います、ご祝儀相場もあるのでしょうが、福田氏のような地味目の政治家はあまり国民の関心はないんじゃないのか、おそらく5割を越えることは無理なのではないかと予想しておりました。

 私は以前のエントリーでこのたびの安倍電撃辞任で実は困ったのは自民党ではなく民主党だろうと指摘しました。

(前略)

 私が思うに、日本の民意はおそらく朝日の主張(ある意味で180度逆の産経の主張も含めていいでしょう)よりももう少し中庸で、朝日が主張するほどには政府・自民党を見限ってはいないことでしょう。

 もちろん民意もぶれます。

 2005年郵政選挙で小泉自民を圧勝させたのも、今回年金問題や「政治とカネ」の問題で安倍自民を惨敗させたのも同じ日本の民意なのであります。

 しかし、ただでさえ傾向として日本の民意は「参院選」では与党を追い込むことが多いですが、首班指名権のある「衆院選」では慎重な行動(政権側に投票する比率が高い)をとる傾向にあります。

 今回の安倍首相の辞任は、世論の流れを自民党「懲らしめ」から自民党「がんばれ」に変える可能性があります。

 当ブログで予言しましょう、新政権は間違いなくご祝儀相場もあいまって安倍政権より内閣支持率を底上げすることでしょう。

 朝日の思惑とは逆に自民支持率は新政権のもとで当面回復に向かうでしょう。

 そして衆議院選挙をいつ行うのか、そのタイミングにもよりますが、おそらく過去もそうでしたがサミットなどの外交日程をこなした直後(外交成果が上がった直後に内閣支持率が上昇する傾向があるため)が選ばれることでしょう。

(後略)

■[政治]予言しましょう、朝日の思惑とは逆に、自民支持率は当面回復に向かうでしょう〜突然の安部辞任で困ったのは自民党ではなく民主党
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070912/1189587483

 地味な福田政権ですら5割を越す支持を与えた日本の民意は「けなげ」ですらあります。

 この一年間の政治の体たらくを考えても見て下さい。

 5年の長期に及んだ小泉政権の後を受け、支持率71%(日経調査)という高い期待を受けて戦後最年少の首相として安倍政権が誕生したのが1年前の9月のことです。

 ところが、郵政造反組復党から始まり、税調会長の公務員宿舎愛人問題、行革相の架空事務所費計上問題、農水相の自殺、年金記録問題、防衛相の原爆発言、赤城農水相の事務所費問題と不祥事が噴出します。

 しかし、どの不祥事に対しても即断即決できずに問題を先送りし、安倍首相の危機管理の『無能』ぶりが徐々に浮き彫りになり、参院選直前には遂に支持率は30%を割って、参院選では歴史的大敗を喫します。

 参院選直後の内閣支持率は遂に20%ぎりぎりにまで落ち込みます。

 辞任を迫る野党やメディアの批判をなにするものぞ、安倍氏内閣改造で政権の延命をはかります、支持率は一時的に40%に回復するモノの、その直後の例の電撃辞任劇であります。

 すべてこの一年の間に永田町で起こった不始末であります。

 あわれ日本の民意は、かいしょのない飲んだ暮れ亭主につきあわされ振り回されるけなげな奥さんのようなものであります。

 期待して裏切られ続けあいそをつかすと、亭主は今度こそ改心すると土下座して平謝り、それならばと疲れ切った精神状態の中で「けなげ」にもダメ亭主をまた信じてついていこうとしてる奥さんなのであります。

 ほんとうだったら三行半をつけて離婚したいところを、日々の生活もあるし子供の養育もある、他に頼る身元もないから、なくなくダメ亭主の改心をそれこそあきらめ半分でしかし祈るような気持ちで信じる「けなげ」な奥さん・・・まただまされるだけかもと不安は当然持っているのに。

 私は福田新政権の支持57%という予想外に高い数字を見て、日本の民意はなんと「けなげ」なのだろうと、こんなことを連想したのでありました。

 ・・・



●今度の衆議院選は本当の勝負になる

 これで今度の衆議院選はおもしろくなりました。

 次回衆議院選が自民がいつのタイミングで打って出てくるか、その間に福田新政権にあらたなスキャンダルは起きないか、テロ特措法の、自民、民主、それぞれの対応に国民はどちらにいかなる支持を与えるか、不確定要素は多々あり現時点で次の衆議院選の結果を予測することは不可能ですが、あえて無理を承知で流れを予想してみましょう。

 ・・・

 民主党にとりベストチョイスは不人気な安倍政権のまま解散・総選挙に追い込むことでしたが、あの電撃辞任でそのもくろみははずれました。

 あわれやつれた安倍さんの引退記者会見は、決して政治家にいつも冷たいだけではない日本の民意の情緒的な部分に少なからず刺激を与えたことでしょう。

 また、小泉・安倍と続いた劇場型政権にやや疲れてしまったところで、協調型の福田さんの登場に少し癒される面もあるのでしょう。

 前回も予測したように、底を打った自民支持率は当面回復に向かうことは間違いないでしょう。

 あわれ安倍さんの引退会見は、世論の流れを自民党「懲らしめ」から自民党「がんばれ」に変える可能性があるわけです。

 なおかつ、過去の国民の投票動向を見てみると、日本の民意は「参院選」では与党を追い込むことが多いですが、首班指名権のある「衆院選」では慎重な行動(政権側に投票する比率が高い)をとる傾向にあることも、次回衆議院選を新政権で向かえる自民党に取り有利な事実でしょう。

 小泉改革により特に地方支持基盤が壊滅的な状況にある自民党にとって、福田新政権のもと、民意が自民党「がんばれ」モードのうちに解散・総選挙を打ちたいところでしょう。

 ・・・

 私はそれでも今度の衆議院選挙は民主有利と予測します。

 それは日本の優しい民意が多少自民「がんばれ」モードに変化していっても、テクニカルな面で民主党に圧倒的に有利な展開が今度の衆議院選では待っているからです。



共産党の戦術転換によりテクニカルな面で圧倒的に有利な状況になった民主党

 なぜかネットではあまり話題になっていないようなのですが、日本共産党は九月八、九の両日に開かれた第五回中央委員会総会において、選挙戦術の歴史的変更を決議しています。

 9月11日付け日本共産党機関誌「しんぶん赤旗」記事から。

2007年9月11日(火)「しんぶん赤旗

第五回中央委員会総会について
二〇〇七年九月九日 日本共産党中央委員会書記局

一、日本共産党第五回中央委員会総会は、九月八、九の両日、党本部で開かれた。

 一、総会では、幹部会を代表して志位和夫委員長が報告した。報告は第一に、参院選の結果と教訓についてのべた。このなかで、選挙での政治論戦が、自民党政治を追いつめ、選挙後の情勢に生きた力を発揮していることを確認するとともに、日本改革の方針を広く国民に語る活動での党中央のイニシアチブに弱さがあったことについて反省をのべた。選挙活動の全体にかんしては、比例代表選挙に自らがもつ力を発揮しきれていないという問題、さらにどんな情勢のもとでも前進を切り開くだけの自力そのものが不足しているという問題を、重要な教訓として明らかにした。報告は第二に、選挙を契機に始まった新しい政治プロセスを前進させるための日本共産党の役割についてのべ、直面する熱い問題で積極的役割を果たすことを具体的に提起するとともに、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を提案した。

 報告は第三に、総選挙の方針についてのべ、全国的な得票目標六百五十万票以上の達成を衆参両院選挙の共通目標としてめざすことを提案した。また、比例代表選挙に力を集中するため、従来の方針を見直し、小選挙区での立候補を、(1)参院比例選挙での得票率8%以上で日常的、系統的に活動できる力量のある候補者を擁立できる選挙区、(2)各都道府県で一選挙区以上――を、およその目安にして決めること、比例候補者をすべての都道府県から擁立することを提案した。報告は最後に、国政選挙で勝てる党を建設する問題について、参院選挙の教訓、第二十四回党大会以来の努力などをふまえながら、五点にわたって詳述した。

 一、幹部会報告にもとづいて、三十七人が討論した。

 一、志位委員長が討論の結語をのべた。幹部会報告が参院選の総括と新しい情勢のもとでの方針を一体的に提起しており、選挙方針も党建設の方針も総括と一体のものとしてとらえることが重要であると強調した。「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」について、語り合う内容や、すすめかたなどを解明した。小選挙区でのたたかいは、提起された方針についてよく議論をつくして決定してほしいと強調し、その探求方向などについての重要点を、討論をふまえて解明した。幹部会報告が提起した重点方向にそった党づくりでの前進が、あらゆる活動を前進させる土台であると重ねて強調し、五中総決定の徹底について新しいとりくみの方向を明らかにした。

 一、総会は、幹部会報告・結語を全員一致で採択し、来るべき総選挙での勝利に向けて、五中総実践の先頭に立つことを誓い合って閉会した。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-09-11/2007091104_01_0.html

 ポイントはここ。

 報告は第三に、総選挙の方針についてのべ、全国的な得票目標六百五十万票以上の達成を衆参両院選挙の共通目標としてめざすことを提案した。また、比例代表選挙に力を集中するため、従来の方針を見直し、小選挙区での立候補を、(1)参院比例選挙での得票率8%以上で日常的、系統的に活動できる力量のある候補者を擁立できる選挙区、(2)各都道府県で一選挙区以上――を、およその目安にして決めること、比例候補者をすべての都道府県から擁立することを提案した。報告は最後に、国政選挙で勝てる党を建設する問題について、参院選挙の教訓、第二十四回党大会以来の努力などをふまえながら、五点にわたって詳述した。

 毎回の国政選挙でほぼ全小選挙区に候補を擁立してきた方針を撤回し、次回からは「参院比例選挙での得票率8%以上で日常的、系統的に活動できる力量のある候補者を擁立できる選挙区」に擁立を絞り込むというのです。

 これを受けての朝日新聞記事から。

共産党、選挙区候補を半減 2大政党化の影響
2007年09月09日02時03分

 共産党は8日の第5回中央委員会総会で、次期衆院選小選挙区について、擁立する候補者を大幅に絞り込む方針を明らかにした。新たな基準を適用すると、候補は前回衆院選から半減し、130前後にとどまる計算になる。参院民主党が第1党になるなど2大政党化の流れが加速するなかで、全300小選挙区での擁立を目指してきた従来の方針の転換を強いられた形だ。

 志位委員長が同日、党本部で講演し、(1)参院選比例区での同党の得票率が8%以上の小選挙区に絞る(2)ただし、各都道府県ごとに最低1人以上は擁立する――との新基準を公表。その理由について「従来の方針のままでは、多額の供託金没収による財政圧迫など、マイナスが大きい」と説明した。得票率が10%未満だと、供託金が没収されるためだ。今後は比例区をより重視し、参院選に続いて650万票の目標を掲げるという。

 共産党は03年衆院選では全小選挙区に、05年は275小選挙区に候補者を立てたが、いずれも全敗だった。公明、社民、国民新各党は一部の小選挙区でしか候補者を出しておらず、共産党の方針転換で、自民、民主両党の候補者の一騎打ちになる小選挙区が増える見通しだ。

 05年衆院選では、民主、共産両党候補の得票を足せば、当選した与党候補の得票を上回る小選挙区が約40あった。共産党の候補絞り込みは、民主党への追い風になるとの見方もあるが、共産党側は「選挙での野党共闘を想定した決定ではない」としている。

http://www.asahi.com/politics/update/0909/TKY200709080284.html

 朝日新聞の試算によれば、あの小泉郵政旋風が吹き荒れ自民が圧勝した「05年衆院選」ですら、「民主、共産両党候補の得票を足せば、当選した与党候補の得票を上回る小選挙区が約40あった」というのです。

 共産党のこの戦術転換は間違いなく民主党にとって有利であり、おそらく小沢民主党党首も、この事実をすでに折り込み済みで各選挙区の候補調整や対策を講じ始めていることでしょう。

 ・・・

 少々民意が自民党に追い風でなければ、そもそも次回衆議院選においては、共産党のこの戦術転換により民主党にとってテクニカルな面で圧倒的に有利な状況があったわけです。

 私が冒頭に「これで今度の衆議院選はおもしろくなりました」としたのは、自民党には失礼ながら、民意の「同情」モードと総選挙のタイミングが与党が決められるというハンディキャップがないと、共産党の戦術転換による民主優位はゆるがないだろうと予測していたからなのでした。

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●福田新政権には速やかに必要なタイミングでの解散・総選挙を望む〜その上で自民であれ民主であれ長期本格政権を期待したい

 昨日(26日)の毎日社説の結語には、私は全く同感なのであります。

社説:福田新政権 政治の漂流止める強い決意を

(前略)

 日本政治の漂流を止めるため、福田首相は明確な長期ビジョンを掲げ、国民の支持を得るよう全力を尽くすことが肝要だ。 
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070926k0000m070168000c.html

 自民党だけでなく、民主党も5年、10年先を見据えた明確な長期ビジョンを掲げて国会にて国民に開かれた論戦を徹底的に闘わせていただきたいのです。

 その上で解散・総選挙で正々堂々と民意を問えばいいのです。

 1年ソコソコで消え去るような蟲のような寿命の政権はもう勘弁してほしいのです。

(前略)

 これからの日本国総理大臣は最低でも4年は任期を全うすべきであると強く思っております。

 安倍政権が1年持たず情けなくも辞任した以上、私もここに至っては準備可能になりしだい解散・総選挙を実施し民意を問うことに賛成です。

 そうした結果、民主党政権が誕生したとしても自民党政権が継続されたとしても、ここは長期本格政権を目指すべきです。

 国民不在の蟲のような寿命の政権が繰り返されることだけはもう止めていただきたいのです。

■[政治]国民不在の蟲のような寿命の政権はもう勘弁してほしい〜新政権は自民でも民主でもいいから長期本格政権を目指すべき
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070913/1189663797

 自民党が勝利するにせよ、民主党が勝利するにせよ、次期内閣は、日本国・国民のために、長期本格政権を目指すべきです。

 そのためには今国会において、与野党で紳士協定を締結するのも一考でしょう。

 次期政権はどちらが勝つにせよ、互いに下らない揚げ足取りは抑制し4年間は解散・総選挙をしないことを紳士的に約束し合うのです。

 じっくりと本格的に政策を遂行する4年間とするのです。

 少子高齢化の中での行財政改革、税制改革などは、北欧のように超党派の委員会で徹底的に議論を重ねて最良の施策を作り上げるべきです。

 しっかりとした施策には優れた英知の結集と不足ない議論をする時間が必要です。

 日本の政治もここいらで本腰を入れなければ、国際的にも発言権を失いかねません。

 福田新政権には速やかに必要なタイミングでの解散・総選挙を望みます。

 その上で自民であれ民主であれ長期本格政権を期待したい。

 一年ももたないような蟲のような寿命の政権が繰り返されることだけはもう止めていただきたいのです。



(木走まさみず)