民主党にとり福田氏より麻生氏のほうがやりやすいのにね。
●なにやらすっかり派利派略の派閥政治が復活している自民党総裁選
自民党総裁選ですが、額賀氏断念ということで一気に「福田氏支持」が大勢となりそうです。
今日(14日)の朝日新聞電子版速報記事から。
派閥が次々「福田氏支持」 額賀氏断念 自民総裁選告示
2007年09月14日13時06分自民党総裁選が14日告示され、元官房長官の福田康夫氏と幹事長の麻生太郎氏が立候補を正式表明した。安倍政権に批判的だった勢力に加え、伊吹派も新たに福田氏支持を打ち出すなど、派閥レベルでは福田氏支持が大勢となっている。小派閥を率いる麻生氏がどこまで支持を拡大できるかが焦点だ。津島派の総会で立候補の意向を示した財務相の額賀福志郎氏は、派内をまとめきれずに立候補を断念し、福田氏を支持する。15日に立候補を受け付け、23日に投開票され、同日の両院議員総会で第22代総裁が選出される。
(後略)
http://www.asahi.com/politics/update/0914/TKY200709140102.html
自民党総裁選でありますが、なにやらすっかり派利派略の派閥政治が復活しているようですが、これはもう国民からすると何度も見させられてきたマンネリ茶番劇であり、食傷気味なのであります。
それにしてもどうも最近の自民党は、前回の安倍氏擁立のときもそうですが、今回も福田氏擁立の動きなど見ていると、「勝ち馬に乗る」「寄らば大樹」の傾向が顕著で辟易してしまいます。
昔の自民内の権力闘争は、善し悪しはありましたがもっと迫力があったですよね。
例によってマスメディアは誰々派が誰を支持とか下らない報道に終始していますが、なんだかなあ今回の旧態依然とした派閥政治的動きと、しかし国会議員の大半が福田支持でまとまりそうだという日和見主義者の跋扈(ばっこ)を目の当たりにしちゃうと、本当に自民党という政党そのものの制度疲労を感じてしまいます。
この際、国会議員の投票権も1党員として格下げしちゃえばどうでしょうかね、一般の党員の総意のほうが永田町の魑魅魍魎達よりもきっとまともな候補者を選んでくれる気がしますです、ハイ。
彼らの投票行動には自分たちの私利私略・派利派略だけであって、日本国の将来を担うべき指導者を決定するという崇高な考え・判断なんか全然見えてきませんモノ、まったく今時の国会議員なんてろくなもんじゃないですよね。
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それにしても、いまさら福田さんなのか。
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●福田康夫氏ってどうも人間性に問題があるような気がしてならない〜中庸を得たイデオロギー色の薄い現実主義者とときに見せる実に冷たい非情の政治家
プチリベラルのナショナリストと政治的スタンスは中庸を目指している不肖・木走ですが、私の福田氏に対する評価は実は2面性があります、肯定的な面と否定的な面であります。
まず肯定的な面としては彼の政治スタンスです。
間違いなく自民党内でも彼のとってきた政策はリベラル派に属しており、なおかつその手法は中庸を得たイデオロギー色の薄い現実主義者であるという点は肯定的に評価しています。
外交はおそらくアジア外交重視路線になるでしょうが、彼は自民屈指の親中派としても知られていますが、アメリカの政治家とも親交があり、バランスの取れた大人の外交が期待できます。
また、靖国参拝問題が熱く議論されている頃、小泉政権の官房長官であった福田氏は、結果的にはとん挫しましたが、靖国にかわる無宗教の国立追悼施設を検討するために立ち上げた諮問機関「追悼懇」がありました。
おそらく靖国参拝は行わないだろうし従軍慰安婦の問題に関しても安倍さんのような「過剰反応」は決してしないことでしょう。
否定的な面としては彼の人間性です。
彼はときに実に冷たい側面を見せることがあります。
たとえば、彼は自民屈指の親中派でありますが、台湾には極めて冷たい対応をとり続けています、台湾の李登輝元総統の訪日にも反対し阻止してきました。
また、官房長官時代の拉致被害者家族問題への対応も彼の冷酷で嫌な面が出ていたと思います。
つまり私にとって福田氏の評価は、物静かに見守り品よく温厚な人柄の中庸の政治家という肯定的側面と、陰険で特に自分と対峙する立場の人に冷酷である非情の政治家という否定的面を併せ持っている感じなのであります。
付け足せば彼の政治家として国民に対する説明能力にも大きく疑問符を付けざるを得ません。
昨年の前回総裁選で最後まで出馬するか逡巡した挙句、結果「もう歳だから」と不出馬をきめたときの決断力の無さ、国民に対する説明責任の放棄は、私は忘れることはできません。
当時(一年前)のエントリーから。
■[政治]小泉首相は8.15靖国参拝に行きたければ行けばいい〜福田康夫氏は総裁選に出馬しないなら出馬しなくていい
(前略)
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しかしなんだかなあ、首相の8.15靖国参拝の動向を待っているのか、世論や党内情勢における自分への期待感の高まりを見極めているのか、よくわからないですが、この福田康夫という男は、つくづく煮え切らない人だなあ。
不肖・木走は靖国参拝凍結派であります。
昨年来当ブログにおいてもこの小泉首相靖国参拝問題は何度も取り上げてきましたが、私のスタンスとしては、小泉首相が靖国参拝しようがしまいがそれは本来どうでもいい個人の問題、しかし日本が60年以上前の戦争の負のイメージを煽られることは外交戦略上得策ではないから、ここは靖国参拝を外交問題にしないためにも日本は日本の意志で首相の靖国参拝を凍結すべき、小泉さんは頑固一徹だからいくら周りが騒いでも靖国参拝は止めないだろうからここは日本の成熟した民主主義を内外に示すためにも、小泉さんは参拝するのはやむを得ないが次期首相は靖国参拝しない人が望ましい、といった感じです。
つまり靖国参拝凍結派の私にとって、靖国参拝反対という政策一点に限り福田さんは次期総理候補として好ましい候補であり、一時はそれなりに期待しておりました。
しかしです。
福田康夫氏のこの煮え切らない態度はどうでしょう。
戦略だか戦術だかわかりませんが、一国の首相、一億二千万の民をたばねて政(まつりごと)の長として最高権力と責任を担う人が、こんな意志表示をしない、やる気を示さない人ならば、そんな人はこちらから願い下げなのです。
福田康夫氏は総裁選に出馬しないなら出馬しなくていい!
もっと真摯に日本国の首相になるんだという決意と覚悟を持った他の人のほうがよろしいでしょう。
プチリベラルな私ですが福田康夫氏には正直失望いたしました。
(後略)
当時、記者会見すら逃げ回り、まったく有権者たる国民に顔を向けようとしない福田氏に私は苛立ちを覚えたのでした。
福田康夫氏ってどうも人間性に問題があるような気がしてならないのであります。
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●朝日って民主党政権を夢見てたんじゃないの?〜民主党にとり麻生氏のほうがやりやすいのにね。
私は政治信条としては福田氏寄りですが、人間性としては麻生氏のほうにはるかに親近感を覚えます。
それはともかく民主党にとっても、実は麻生氏のほうが相手にしやすいのは自明です。
麻生政権ならば安倍政権と対峙してきた戦術をそのまま使うことができるからです。
福田政権となると小沢民主としてはやりづらくなることこの上ないことでしょう。
政策的にも安倍政権時代からぐっと民主党寄りに近づくことでしょうし、なにせあのキャラですから、目立つ失言も少ないことでしょう。
もっとも国民的人気は地味でしょうからご祝儀相場的支持率UPも少ないでしょうが(苦笑
朝日は前回の時にも社説まで掲げて福田氏支持でしたが、今日の朝日社説を読んでも露骨に福田氏に期待しているようです。
自民総裁選―次はこんな資質の人を
(前略)
首相に求められる資質とは何か。
優れた判断力や洞察力、バランス感覚は欠かせない。どれも深い知性に裏打ちされてこその能力だ。
首相は内政から外交、国の安全、スキャンダル対応などありとあらゆるボールを打ち返さなければならない。いたずらにキャリアを重ねればいいわけではないが、豊富な経験がものをいうのは間違いない。議会制民主主義の道理をわきまえることも必要だ。
さらに寛容の心が大切だ。
国を率いるには強い指導力が肝心だが、「われこそが正しい」と思い詰める偏狭さは国を誤らせかねない。国内にも外国にもさまざまな意見、価値観、感情があることを理解して初めて、説得力が生まれる。
人々に親しまれる大衆性はいいが、品格を失えば国民としては恥ずかしい。
そして、ねばり強さと気力、胆力だ。重責の圧力に耐えられるのはもちろん、参院で多数を握る民主党の小沢代表らと渡り合い、必要なら大胆な妥協をする。政権選択をかけて総選挙に打って出る勇気もなければ、国民の信は得られない。
体調を崩して入院した安倍首相には同情を禁じ得ないが、途中で責任を投げ出すような首相だけは願い下げだ。
名指しこそ避けていますが、「いたずらにキャリアを重ねればいいわけではないが、豊富な経験がものをいうのは間違いない」って、御歳71歳の福田さんを指しているのはみえみえなんですよねえ(苦笑
しかしなあ、朝日新聞って本当によくわからない新聞なのであります。
朝日って民主党政権を夢見てたんじゃないの?
民主党にとり福田氏より麻生氏のほうがやりやすいのにね。
<追記>2007/9/14 18:00
麻生氏が正式に立候補表明しましたね。コメントがふるっていたので追記しておきます。
麻生氏、正式に立候補表明 政策発表前の派閥推薦を批判
2007年09月14日16時14分自民党の麻生太郎幹事長は14日、党本部で記者会見し、正式に総裁選への立候補を表明した。麻生氏は「候補者が政策発表する前に、派閥推薦が決まるような状態は、派閥レベルの談合密室だとの批判を受けることになる」と述べ、党内のほとんどの派閥が福田康夫元官房長官の支持を決めたことを批判。「多くの人が出た上で、開かれた総裁選を行うべきだ」と強調した。
また、麻生氏は「政策を国民に問うという小泉改革から逆戻りするイメージは避けなければいけない」と述べたうえで、自身の政策について「温かみのあるものにしなくてはいけない」と言及した。参院選惨敗の原因となった地方の格差問題を是正するなど、競争重視の路線を修正していく考えを示したものだ。
総裁選は15日午前11時から立候補を受け付ける。これに先立ち、福田氏も同日午前に記者会見し、正式に立候補を表明する予定。
http://www.asahi.com/politics/update/0914/TKY200709140261.html
「候補者が政策発表する前に、派閥推薦が決まるような状態は、派閥レベルの談合密室だとの批判を受けることになる」
まったくです。
(木走まさみず)