笑止千万な民主党執行部のさくらパパスキャンダル対応〜「10日間の自宅謹慎」と「携帯電話の着信無視」
●マスメディアのチキンジャーナリズムを補完するこの国のゴシップジャーナリズム
この国のマスメディアのチキン体質はどこから来るのか、昨日も「ひげの隊長」こと佐藤参議院議員の発言問題で主要紙がなぜこの問題を積極的に取り上げないのか理解に苦しむとエントリーしたわけですが、理由のひとつには、この国のメジャーなメディアがすべて所属している閉鎖的な「記者クラブ」の問題があることは間違いないでしょう。
日本独特の仲良しクラブである「記者クラブ」では、役所や政党ごとに100を越える「記者クラブ」なる部屋を与えられ、選ばれし会員メディアだけが入室を許可されています。
そして、お役所や政党側も限られた「記者クラブ」だけに会見や発表をして、彼らを優遇します。
結果、会員メディアは本来客観報道対象である役所や政党に対しこびを売るように、へたに批判的な記事を書けなくなり、ただただ無批判にそれを垂れ流す「提灯持ち記事」を乱造していきます。
その過程の中で報道する側とされる側にある種の「癒着」のような関係が成立してしまい、ついには報道するマスメディア側に独自取材能力が喪失し、公式発表に頼りきるチキンジャーナリズムが生まれるというわけです。
主要全国紙5紙にしてもどの新聞を読んでも書いてある事が余り変わらないのは、公式発表に頼っているからです、そうすりゃ万一間違ってても自分達のせいじゃなくなるからという臆病(チキン)な保身論理がそこに働いているのです。
で、そのようなマスメディアのチキン振りを補完しているのが、功罪両面ありながらですが、ときに暴走しがちで裁判沙汰も日常茶飯事の週刊誌・月刊誌を中心とした、いわゆるゴシップジャーナリズムであります。
この国ではロッキード事件の昔より、数々の政財界の疑獄を暴くのが、メジャーなメディアより多くの場合週刊誌などのゴシップジャーナリズム(しかもしばしば立花隆のようなフリーランスのジャーナリストによる)の側であるわけです。
彼らは、記者クラブに入れないから自力で取材をしなければなりません、だから政側・官側に遠慮が要りません。政治家の発表やお役所発表に頼らず独自で取材できるからこそ、ときとしてマスメディアが見落としてきた大スクープをうてるわけです。
で、臆病なマスメディアはそのような週刊誌などがうったスクープを姑息にも系列スポーツ紙などを使って利用いたします。
で世論の動向を見極めた上で、初めて自身の報道としてしれっと社説や記事報道をしてのけるのです。
つまりマスメディアは、自分達は手を汚して政・官の怒りを買う取材をせず、ゴシップジャーナリズムにそれをさせ、そちらが手柄を立てるとわっと飛びついてくるだけなのです。
多くの政・官のスキャンダルや疑惑の報道は、この国では次のステップで、マスメディアに利用されていくことになります。
1:週刊誌などのゴシップジャーナリズムがスキャンダルスクープ記事掲載
2:マスメディアは系列スポーツ紙の社会面や系列TVのワイドショーなどを活用してそれをしれっと報道
3:社会的に十分に批判対象の問題になったと見なしたら、マスメディアでようやく批判論説を掲載する
マスメディアのチキンジャーナリズムを補完しているのは、この国のゴシップジャーナリズムなのであります。
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●『議員失格!』元愛人が剥がした『さくらパパ』の仮面」〜週刊新潮最新号
昨日、佐藤議員の発言を「この国の法を尊重し擁護することは全ての国会議員・公務員の義務」であると批判したエントリーのコメント欄にて、『だったら今、現実に、明確に違反している民主党をどうにかするべきでは?』というご指摘がありました。
タイムリーなご意見です。
今私の手元には今日発売の「週刊新潮」があります。
ここには「『議員失格!』元愛人が剥がした『さくらパパ』の仮面」と題して民主党の横峯良郎参院議員(47)のスキャンダルを報じています。
そして少し苦笑せざる得ないのですが、マスメディアの定石通り、このスクープ記事が、マスメディア自体・主要全国紙5紙にはまだまったく掲載されていない段階で、さっそく今朝のマスメディアの系列スポーツ紙に一斉に掲載されているのであります。
読売系列スポーツ報知社会面から。
さくらパパにスキャンダル!「辞めんといかんかねぇ」
(2007年8月22日06時06分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070822-OHT1T00087.htm
毎日系列スポーツニッポン社会面から。
横峯良郎氏“愛人いた”週刊誌の報道認め謝罪
◆ さくらも激怒 ◆
[ 2007年8月22日付 紙面記事 ]
http://www.sponichi.co.jp/osaka/soci/200708/22/soci209372.html
産経系列サンケイスポーツ社会面から。
さくらパパに愛人スキャンダル!「エッチした事も事実です」
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200708/sha2007082207.html
比較的まとまりがあるスポーツ報知の記事を引用いたしましょう。
さくらパパにスキャンダル!「辞めんといかんかねぇ」
7月の参院選比例代表で初当選した民主党の横峯良郎参院議員(47)が、早くもスキャンダルに見舞われた。22日発売の週刊新潮が「『議員失格!』元愛人が剥(は)がした『さくらパパ』の仮面」と題し不倫と賭けゴルフを報じている。報道を受け本人は関係者に「(議員を)辞めんといかんかね」ともらしたという。党では10日間の“自宅謹慎”を言い渡し、沈静化を図る構えだが、民主躍進の象徴が“火薬庫”になりかねない状況となった。
初登院から、わずか2週間。さくらパパにスキャンダルが襲った。週刊新潮によると、横峯氏には半同棲(せい)状態の“東京妻”がいたという。この女性は、六本木の元ホステスで現在は飲食店を経営する40代女性。パパと同郷の鹿児島出身のこのスレンダー美人が、仮名で登場し、良郎氏の裏の顔を語っている。
2人は昨年8月下旬に知り合い半月後には男女の仲に。良郎氏から「国会議員になったら俺の秘書になれよ」などと言われたという。「台所の包丁を壁に突き立てられました」という凶暴な一面も暴露。さらに「賭けゴルフの常習者」であることも証言している。
参院選に出馬を表明した段階から“たたけばホコリが出る”とうわさされたさくらパパ。スキャンダルは想定内であったはずだが、いざ現実となってみると民主党のショックは大きい。
記事を見た良郎氏に近い党関係者は、掲載された良郎氏の反論コメントにがく然とした。良郎氏は女性と関係があったことを認め、賭けゴルフについても「議員になってからはやっていない」としたものの過去については否定せず…。これらの発言は新潮側からの取材に、党が弁護士を通して出したコメントとは別のもの。良郎氏が直撃取材に“勝手に”話してしまったものだという。
サービス精神旺盛の良郎氏らしいといえば、らしいが、民主党の新人議員研修で、くぎを刺されたはずの“失言癖”が暴走してしまった形だ。党は対応を選挙参謀だった手塚よしお前衆院議員に一任。手塚氏は「10日間の自宅謹慎」と「携帯電話の着信無視」を通告した。さくらパパは家族からの突き上げに憔悴(しょうすい)し切っている様子。親しい党関係者には「辞めんといかんかね…」と一時は議員辞職も示唆したが、党としては事態の沈静化を図る構えだ。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「不倫は家庭の問題。細野豪志氏の場合(山本モナとの熱烈キス騒動)とは違い、さくらパパだからというダメージの小ささもある」としたが「賭けゴルフは内容次第では、国会議員として責任を追及される可能性がある。自民党に攻め材料を与えてしまうことになり、世論の動向によっては、民主党が身軽になろうと考えるかもしれない」と良郎斬りもあり得ると予測した。
民主党には苦い経験がある。2006年の偽メール問題では、対応のまずさから当事者の永田寿康議員が辞職しただけでなく前原誠司代表ら執行部の総退陣にまで発展した。民主党としては後手後手の対応だけは避けたいところだが。
横峯良郎氏「週刊誌に報じられた過去の軽率な行動については、反省するところもあり、家族からも叱責(しっせき)を受けました。今後は投票していただいた方の期待をしっかりと胸に刻み、襟を正していく所存です。お騒がせして申し訳ありませんでした」
別に大疑獄というよりも実にお下品なゴシップなのでありますが、ネタがネタでありまた本人も事実関係を認めていることもあり、これはこれからTVのワイドショーにもさかんに取り上げられることになるでしょうね。
そして国民の批判の声がある程度大きくなったら、例によってマスメディアにしれっと批判報道が登場することでしょう。
ちょっと内容がお下品なので、もしかすると最初は記事ではなくコラムかもしれませんが・・・
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愛人との半同棲も違法な賭けゴルフもその事実を本人は認めているようですが「参院選に出馬を表明した段階から“たたけばホコリが出る”とうわさされたさくらパパ。スキャンダルは想定内であったはずだが、いざ現実となってみると民主党のショックは大きい。」(スポーツ報知記事)と民主党はショックは大きいそうなのですが、笑止です。
このようなモラルに欠いた人物を候補者に選定した民主党執行部の責任は重大です。
本人は「21日、文書で「過去の軽率な行動については反省するところもあり、家族からも叱責を受けました。今後は襟を正していく所存です」とコメント」(サンスポ記事)、一方民主党側は本人に「「10日間の自宅謹慎」と「携帯電話の着信無視」を通告」(スポーツ報知記事)したそうですが、
「10日間の自宅謹慎」と「携帯電話の着信無視」ですか。
「携帯電話の着信無視」とは、また笑止千万。
本人の放言癖を止めるためのリスク管理のつもりなのでしょうが、公党のリスク管理としては、まったくお間抜けなお馬鹿な話なのです。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「不倫は家庭の問題。細野豪志氏の場合(山本モナとの熱烈キス騒動)とは違い、さくらパパだからというダメージの小ささもある」としたが「賭けゴルフは内容次第では、国会議員として責任を追及される可能性がある。自民党に攻め材料を与えてしまうことになり、世論の動向によっては、民主党が身軽になろうと考えるかもしれない」と予測しているようです。
評論家の予想はともかく、「世論の動向によっては」などと流ちょう悠長なことを考えているとしたら、民主党執行部は大やけどをすることになりましょう。
このような俗物を候補者に選定した民主党執行部の責任は重大です。
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(木走まさみず)
<テキスト修正履歴>2007.8.22 14:30
コメント欄のご指摘により一部文言を訂正いたしました。御免様、ご指摘感謝。