鏡を見ろ! 朝日新聞!!〜「目くそ」なくせに「鼻くそ」民主党を指導している胡散臭さに対する無自覚が素晴らしい朝日社説
●昨日の民主党大会を受け、民主党を叱咤する各紙社説〜小沢民主党は、政権交代をして日本をどうするのかについて説得力ある具体像を示しているとは言い難い(【産経社説】)
昨日の民主党大会を受け、毎日新聞を除く主要4紙は本日の社説にて民主党を取り上げています。
【朝日社説】民主党 菅氏で首都決戦を挑め
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
【読売社説】[民主党大会]「『対決』だけでは信頼は得られない」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070116ig90.htm
【産経社説】民主党大会 野党共闘優先でよいのか
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070117/shc070117000.htm
【日経社説】民主党は政策で勝負せよ(1/17)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070116MS3M1600216012007.html
出色の出来である朝日社説に関しては後述するとして、他の読売・産経・日経の3紙の主張ですが、切り口はまちまちですが、民主は選挙をにらんだ野党共闘重視ではなく現実的な政策本意で与党に勝負すべきであるという一点では並んでいるようです。
例によってそれぞれの社説のポイントから。
【読売社説】[民主党大会]「『対決』だけでは信頼は得られない」
だが、民主党の姿勢に疑問もある。たとえば、2007年度活動計画が、「参院選後をも展望し、他の野党との協力を進める」と明記していることだ。
来賓として出席した社民党の福島党首は、自民党政治の打倒を呼びかけ、とくに憲法改正の手続きを定める国民投票法案に「断固反対」を求めた。
しかし、民主党は独自の国民投票法案を国会に提出している。法案そのものに反対の社民党とはまるで立場が違う。
活動計画は、自民党との対立軸を示し、民主党の政策、主張をわかりやすく伝える、としている。だが、参院選での選挙協力を重視すればするほど、自らの政策を貫けなくなるのではないか。
【読売社説】は「参院選での選挙協力を重視すればするほど、自らの政策を貫けなくなるのではないか」と指摘しています。
二大政党が競い合い、政治に緊張感を与えることは必要だ。民主党には議会制民主主義がよりよく機能するための役割を果たしてもらいたい。だが、小沢民主党は、政権交代をして日本をどうするのかについて説得力ある具体像を示しているとは言い難い。
一例は憲法改正の手続きを定める国民投票法案だ。小沢氏は記者会見で「結果として(安倍政権に)協力する形は良くないかもしれない」と慎重に対応する考えを示したが、自由党党首時代、他党に先駆けて国民投票法案を提示したのではなかったか。
「国の根幹を形作る法的整備より、社民党などとの野党共闘を優先するというのなら、政権政党たりえない。」と断罪する【産経社説】なのであります。
【日経社説】民主党は政策で勝負せよ(1/17)
25日召集予定の次期通常国会で民主党が問われるのは、憲法改正の具体的な手続きを定める国民投票法案への対応だ。与党案と民主党案が提出されており、実務者レベルで修正協議が進んでいる。民主党の鳩山由紀夫幹事長らは通常国会での成立に前向きな考えを示している。
しかし社民党の福島瑞穂党首は来賓あいさつで、成立を阻止する立場で共闘を呼びかけた。大会後の記者会見で小沢氏は「政府・与党に単に協力するような形はよくないかもしれない。中身とトータルで政治的判断を近々しなければならないだろう」と述べた。選挙や国会での野党共闘を重視するあまり、いたずらに国民投票法案の成立を引き延ばすのであれば、本末転倒である。
「選挙や国会での野党共闘を重視するあまり、いたずらに国民投票法案の成立を引き延ばすのであれば、本末転倒である。」と小沢氏に注文を付ける【日経社説】なのであります。
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確かに各紙社説が主張しているとおり、水と油ほど考え方の違う政党同士の野党共闘は、国民に取りわかりづらいものがあるでしょう。
しかしより本質的な問題は民主党自体が自民以上に主義主張がまとまらない寄り合い所帯であり国民に日本の将来に対する具体的な説得力ある政策を提示できていないことに尽きると思います。
ようは、産経社説の以下のくだりの指摘で言い尽くされていると思います。
二大政党が競い合い、政治に緊張感を与えることは必要だ。民主党には議会制民主主義がよりよく機能するための役割を果たしてもらいたい。だが、小沢民主党は、政権交代をして日本をどうするのかについて説得力ある具体像を示しているとは言い難い。
たしかに、多くの国民にとって政権党に変わるべき責任政党がこの日本に無いことは悲劇であります。
政権党の失政を厳しく批判し責任ある対案を明示し「日本をどうするのかについて説得力ある具体像を示し」てそれを国会を通じて堂々と国民に主張、安心して政権交代を任せられる野党がこの国には必要なのであります。
その意味で、現状の民主党の体たらくは、健全な政権交代を実現すべき政党が自民党以外に選択肢としてない点で、それを望んでいる国民に対して大罪を犯していると自覚すべきなのです。
今度の参院選で実は安倍政権以上に、情けない民主党こそがまさに「存亡の危機」に直面していると言えましょう。
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●ずいぶん無駄に「力」のこもった朝日新聞社説(爆)
で、出色の出来である本日の朝日社説を全文ご紹介。
本日(17日)の朝日新聞社説から。
民主党 菅氏で首都決戦を挑め
万年業界2位の企業が、トップ企業を抜き去る――。その夢をかなえるには必死の努力が必要だ。では、夏の参院選挙で与野党逆転をめざす民主党が、そんな研鑽(けんさん)を積んでいるか。はなはだ心もとない。
まず、人材はどうか。市場(選挙)で顧客(有権者)に買って(投票)もらえるかどうか、いわば商品力にあたる。
きのうまで開かれた定期党大会は、参院選と春の統一地方選の候補をお披露目する決起集会でもあるはずだ。だが、それにしては寂しい顔見せだった。
候補者を決められない「空白区」が多いだけではない。落選した元衆院議員のくら替え出馬が目立つ。比例区は相変わらず労組OBが多い。
知事選では21日投票の山梨、愛媛、宮崎の3知事選はすべて不戦敗だが、春の知事選も東京や福岡を含め、候補擁立が難航している。
新しい魅力的な人材を発掘し、支持層を広げようという迫力が感じられない。現職の国会議員が知事選に立つケースが大半で、これではシェア拡大は夢のまた夢というものだ。
もうひとつの商品力、政策の方も今のところパンチに欠ける。
3年前の参院選では、年金の財源として消費税を3%引き上げるという負担増を打ち出し、「逃げない民主党」と評価されて躍進につながった。だが、この大会ではこれを引っ込め、現行の税率を維持する内容の基本政策を決めた。
代わりに「格差是正」を次の目玉商品として売り出す予定だが、中身はまだはっきりしない。与党は消費増税の議論を参院選後に先送りする一方で、成長重視路線という新商品を売り出す構えだ。これに太刀打ちするのは容易ではない。
与党の失策を追及する攻撃力も、このところ湿りがちだ。タウンミーティングの「やらせ質問」、さらに事務所費をめぐる閣僚らの不適切経理は、ともにメディアや他の野党が発掘した疑惑である。
野党第1党の民主党の調査力、情報力はどこへ行ったのか。偽メール問題による萎縮(いしゅく)がまだ続いているのか。
どうにも、今の民主党は頼りない。党大会で地方代議員らから不満や疑問の声が上がったのは当然のことだ。
トップ企業の牙城(がじょう)を崩すには、ヒット商品の爆発力で一点突破する手がある。民主党で言えば、東京都知事選で背水の陣を敷き、「与党VS.民主党」の決戦を演出することだろう。
たとえば、知名度と実績のある菅直人代表代行を立て、石原都政と対決する。都知事の座を奪うことはもとより、首都決戦に正面から挑む党の姿勢が全国の有権者への強いメッセージとなり、選挙戦全体を引き締めるのではないか。
事務所費疑惑でも、問題が指摘される小沢代表や松本剛明政調会長らの会計帳簿や領収書を率先して開示し、与党に迫る。そんな必死の姿勢こそが、2番手企業の躍進には欠かせないのだ。
「どうにも、今の民主党は頼りない。党大会で地方代議員らから不満や疑問の声が上がったのは当然のことだ。」としたうえで、 「トップ企業の牙城(がじょう)を崩すには、ヒット商品の爆発力で一点突破する手がある。」とし、「東京都知事選で背水の陣を敷き、「与党VS.民主党」の決戦を演出」、「知名度と実績のある菅直人代表代行を立て、石原都政と対決」せよと提案している朝日社説なのであります。
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うーん、素晴らしい。
この朝日社説ですが、これは今年一番の快作(怪作?)です。
ふーむ、民主党に足らないのは、「必死の努力」、「商品力」、「魅力」、「迫力」、「攻撃力」、「調査力」、「情報力」、「爆発力」ですか。
、しかし、ずいぶん無駄に「力」のこもった社説ですな(爆)
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ふう。
●このピントの外し方は芸術的ですらある朝日社説
万年業界2位の企業が、トップ企業を抜き去るにはどうすればいいのか、民主党を万年業界2位企業に喩えて懇切丁寧に指導していく朝日社説なのであります。
社説冒頭。
万年業界2位の企業が、トップ企業を抜き去る――。その夢をかなえるには必死の努力が必要だ。では、夏の参院選挙で与野党逆転をめざす民主党が、そんな研鑽(けんさん)を積んでいるか。はなはだ心もとない。
まず、人材はどうか。市場(選挙)で顧客(有権者)に買って(投票)もらえるかどうか、いわば商品力にあたる。
うむ、「トップ企業を抜き去る――。その夢をかなえるには必死の努力が必要」なのに、民主党は「そんな研鑽(けんさん)を積んでいる」のか、とお叱りです。
新しい魅力的な人材を発掘し、支持層を広げようという迫力が感じられない。現職の国会議員が知事選に立つケースが大半で、これではシェア拡大は夢のまた夢というものだ。
人材発掘努力もぜんぜんだめじゃないか、「これではシェア拡大は夢のまた夢というものだ」とえらそうに言い切ります。
トップ企業の牙城(がじょう)を崩すには、ヒット商品の爆発力で一点突破する手がある。民主党で言えば、東京都知事選で背水の陣を敷き、「与党VS.民主党」の決戦を演出することだろう。
「トップ企業の牙城(がじょう)を崩すには、ヒット商品の爆発力で一点突破する手がある」として、秘策を伝授いたします。
結語から。
事務所費疑惑でも、問題が指摘される小沢代表や松本剛明政調会長らの会計帳簿や領収書を率先して開示し、与党に迫る。そんな必死の姿勢こそが、2番手企業の躍進には欠かせないのだ。
「必死の姿勢こそが、2番手企業の躍進には欠かせないのだ」と民主党を叱咤してこの社説は結ばれています。
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素晴らしい、感動した!!
この朝日社説ですがそのピントの外し方は芸術的ですらあります。
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まず第一に自分自身が「目くそ」なくせに「鼻くそ」民主党を指導している胡散臭さに対する無自覚が素晴らしいですよね。
例えば社説冒頭の文章ですが、これね、「夏の参院選挙で与野党逆転をめざす民主党」のところを「読売新聞に発行部数で抜かれてはや数十年、部数逆転を目指す朝日新聞」に置き換えたらどうでしょう(苦笑
万年業界2位の企業が、トップ企業を抜き去る――。その夢をかなえるには必死の努力が必要だ。では、読売新聞に発行部数で抜かれてはや数十年、部数逆転を目指す朝日新聞が、そんな研鑽(けんさん)を積んでいるか。はなはだ心もとない。
発行部数「万年業界2位」の朝日新聞が、「万年業界2位の企業が、トップ企業を抜き去る」方法を、万年野党の民主党に、自分を棚に上げて指導・伝授しているのであります。
しかも、「トップ企業の牙城(がじょう)を崩すには、ヒット商品の爆発力で一点突破する手がある」として、民主党に朝日社説が伝授した秘策が、都知事選で「知名度と実績のある菅直人代表代行を立て、石原都政と対決」せよ、ですと(苦笑。
本気で菅直人代表代行が「ヒット商品の爆発力で一点突破する手」を実現できる「ヒット商品」と認識しているのでしょうか?
素晴らしいなあ、その「調査力」と「情報力」は、さすがは万年新聞業界2位の朝日新聞であります(苦笑
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発行部数「万年業界2位」の朝日新聞が、「万年業界2位の企業が、トップ企業を抜き去る」方法を、万年野党の民主党に、君たちには、「必死の努力」、「商品力」、「魅力」、「迫力」、「攻撃力」、「調査力」、「情報力」、「爆発力」などが足らんのだと、自分を棚に上げて指導・伝授し、挙句に、都知事選では菅直人代表代行が「ヒット商品の爆発力で一点突破する手」であるぞと、トンチンカンな秘策を民主党に伝授しているのであります。
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朝日新聞よ、民主党に対し指導する資格があなた方に本当にあるのでしょうか??
民主党の「万年業界2位」を指導する前に発行部数減が止まらない新聞業界「万年2位」の自分自身の本業を心配したらどうなんです?
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鏡を見ろ! 朝日新聞!!
(木走まさみず)