木走日記

場末の時事評論

批判している相手に媚びを売る朝日社説の『書生的な問題意識』

●朝日にしてはいっぱいいっぱいの盧武鉉大統領批判

 本日(26日)の朝日新聞社説から・・・

盧大統領 原則一本やりの危うさ

 怒りのボルテージを上げているうちに、収まりがつかなくなっているかのようだ。

 盧武鉉大統領が「特別談話」を出した。韓国で独島と呼ぶ竹島の領有権を日本が言うのは不当であり、「独島は、歴史の清算と完全な主権の確立を象徴する」と断じた。

 「日本が誤った歴史を美化し、それを根拠に権利を主張する限り、韓日間の友好関係は成り立たない」とも述べた。

 歴史教科書や小泉首相靖国神社参拝の問題とあわせ、厳しく対処していくという。1年前には大統領府のホームページで「外交戦争もありうる」と語っていた。その頑(かたく)なさがさらに強まった。

 韓国が信ずる原則に基づき、言いたいことを言う。決して譲りはしない。政権の基盤が弱いがゆえの国内向けのポーズだ、などと矮小(わいしょう)化してはならない。そんな警告を込めたのだろう。自らの任期中は日韓の和解は無理だと言っているようにも響く。

 だがちょっと待ってほしい。領土問題を正面にすえたのでは、日韓の関係はにっちもさっちもいかなくなる。

 過去、日本は朝鮮半島を植民地にして多大な迷惑をかけた。そのことは真摯(しんし)に反省していかなければならない。侵略戦争の責任者もまつる靖国神社に首相が参拝するのは理が通らない。そうした点について、私たちは社説でこれまで何回も訴えてきた。

 韓国の人たちが被害の歴史に竹島の領有権問題を重ね合わせて見がちなのも、まったく理解できないとは言わない。

 けれども、日本も領有権を主張する根拠を持っている。「植民地支配の歴史を正当化するもの」とは別の話だ。そこを混同し誤解されては心外である。

 日本はことあるごとに抗議はしているものの、韓国はもう半世紀もの間、竹島の実効支配を続けている。

 「騒がないほうが得策だ」。かつてそう語ったのは、大統領自身である。騒ぎ立てるほどに他の国も関心を寄せる。それこそ、韓国が避けたがる「問題の存在を知らしめること」だろう。

 日韓の国交正常化にしろ漁業協定にしろ、島の帰属についての決着はあえて避けてきた。それを「逃げ」だと頭から否定すべきではない。棚上げしたうえで関係の進展をはかっていく現実的な知恵であった。

 「成功するには『書生的な問題意識』と『商人的な現実感覚』が必要だ」。前大統領の金大中さんは昨日の朝日新聞で語っている。両者の調和がとれてこそ政治がうまくいくというのだ。

 盧大統領の談話は、いかに指導者間の信頼関係が失われているかを如実に物語っている。だからといって、自らの原則をそれこそ「書生的」に主張するだけでは、解決の糸口さえ見つけられない。

 竹島をめぐる今回の対立は、双方の外交努力でとりあえず急場をしのいだ。そんな状況で最高責任者が突き進めば、肝心な時に外交の手足を縛ってしまう。

【社説】2006年04月26日(水曜日) 朝日新聞
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 ・・・

 スバラシイ、感動した(爆

 あの朝日新聞盧武鉉大統領批判の社説を掲げたのであります。

 よーし、全文、よいしょ合いの手読み(?)で朝日社説を盛り上げてみましょうか。

盧大統領 原則一本やりの危うさ

 怒りのボルテージを上げているうちに、収まりがつかなくなっているかのようだ。

 うむ、例の特別談話のことですな。

 盧武鉉大統領が「特別談話」を出した。韓国で独島と呼ぶ竹島の領有権を日本が言うのは不当であり、「独島は、歴史の清算と完全な主権の確立を象徴する」と断じた。

 うーむ「独島は、歴史の清算と完全な主権の確立を象徴する」とは偏狭な・・・

 「日本が誤った歴史を美化し、それを根拠に権利を主張する限り、韓日間の友好関係は成り立たない」とも述べた。

 「誤った歴史を美化」として竹島問題を歴史問題にすり替えているのですね。

 歴史教科書や小泉首相靖国神社参拝の問題とあわせ、厳しく対処していくという。1年前には大統領府のホームページで「外交戦争もありうる」と語っていた。その頑(かたく)なさがさらに強まった。

 うーむ、なんという頑固な思いこみなんだ。

 韓国が信ずる原則に基づき、言いたいことを言う。決して譲りはしない。政権の基盤が弱いがゆえの国内向けのポーズだ、などと矮小(わいしょう)化してはならない。そんな警告を込めたのだろう。自らの任期中は日韓の和解は無理だと言っているようにも響く。

 うん、確かにこんな偏狭な決め付けを押しつけられては「自らの任期中は日韓の和解は無理だと言っている」ように聞こえるワナ・・・

 だがちょっと待ってほしい。領土問題を正面にすえたのでは、日韓の関係はにっちもさっちもいかなくなる。

 そりゃそうだ「にっちもさっちもいかなくなる」ぞ。

 過去、日本は朝鮮半島を植民地にして多大な迷惑をかけた。そのことは真摯(しんし)に反省していかなければならない。侵略戦争の責任者もまつる靖国神社に首相が参拝するのは理が通らない。そうした点について、私たちは社説でこれまで何回も訴えてきた。

 ん? なんか、少しアサヒチックな文が割り込んでるゾ(苦笑

 韓国の人たちが被害の歴史に竹島の領有権問題を重ね合わせて見がちなのも、まったく理解できないとは言わない。

 「見がち」っていうか、彼等は歴史問題と重ね合わせて「しか見ていない」と思うゾ。(苦笑)

 けれども、日本も領有権を主張する根拠を持っている。「植民地支配の歴史を正当化するもの」とは別の話だ。そこを混同し誤解されては心外である。

 うむ、歴史問題と領土問題は別で論じないと。

 日本はことあるごとに抗議はしているものの、韓国はもう半世紀もの間、竹島の実効支配を続けている。

 そうだ、そうだ。

 「騒がないほうが得策だ」。かつてそう語ったのは、大統領自身である。騒ぎ立てるほどに他の国も関心を寄せる。それこそ、韓国が避けたがる「問題の存在を知らしめること」だろう。

 ん? 韓国の大統領に領土問題の「得策」をアドバイスしてどうする?(苦笑)

 日韓の国交正常化にしろ漁業協定にしろ、島の帰属についての決着はあえて避けてきた。それを「逃げ」だと頭から否定すべきではない。棚上げしたうえで関係の進展をはかっていく現実的な知恵であった。

 「現実的な知恵」ねえ。

 「成功するには『書生的な問題意識』と『商人的な現実感覚』が必要だ」。前大統領の金大中さんは昨日の朝日新聞で語っている。両者の調和がとれてこそ政治がうまくいくというのだ。

 ほほう、金大中さんうまいこと言いますなあ。

 『書生的な問題意識』と『商人的な現実感覚』ねえ。

 盧大統領の談話は、いかに指導者間の信頼関係が失われているかを如実に物語っている。だからといって、自らの原則をそれこそ「書生的」に主張するだけでは、解決の糸口さえ見つけられない。

 異議なし。しかも根拠なく議論もないんじゃ話しにならんゾ。

 竹島をめぐる今回の対立は、双方の外交努力でとりあえず急場をしのいだ。そんな状況で最高責任者が突き進めば、肝心な時に外交の手足を縛ってしまう。

 こんな偏狭な主張を公式談話しちゃうと「肝心な時に外交の手足を縛ってしまう」のは同感であります。

 ・・・

 日本が主張する国際司法裁判所への付託に言及していないし、ところどころアサヒチックなとんちんかんな文章も混ざったりしていますが、まあ朝日にしてはいっぱいいっぱいの盧武鉉大統領批判でありますね。

 ようは、盧武鉉大統領の言ってることは、『書生的』な問題意識であって、『商人的』な現実感覚がないんだよ、と批判しているわけであります。

 ・・・

 しかし『書生的な問題意識』って、よく朝日新聞社説子も使うよなあ。

 いつも『商人的な現実感覚』がなくて、『書生的な問題意識』ばかりで社説書いているのは、どちらの新聞でしたかねえ(苦笑)

 少しは「孟子」でも読んで見たらどうですかね。

 人の患(うれい)は、好んで人の師と為るに在り 【(孟子曰)人之患、在好為人師】

 人間の弱点は、それほど力がないのに、ややもすると他人に向かってお説教したくなることだ。知ったかぶりはやめなさい。

 「孟子」より。

 ・・・

 ふう。



●毎日にしては珍しく(失礼)いい盧武鉉大統領批判

 本日(26日)の毎日新聞社説から・・・

社説:盧大統領談話 やはり平静に対話すべきだ

 韓国の盧武鉉ノムヒョン)大統領が25日、日韓関係について特別談話を発表した。竹島(韓国名・独島)の領有権問題と歴史認識問題を結びつけ、日本を激しく批判する内容だ。海底地名問題をめぐる衝突の危機が回避された直後というのに、逆に対立をあおるような談話を発表したのは遺憾だ。

 盧大統領は島根県竹島の日条例を制定した昨年3月にも大統領府ホームページに談話を発表したが、今回はテレビを通じ「静かな対応では管理できない。物理的挑発には断固として対応する」と国民に訴えた。

 昨年の談話でも「日本が侵略と支配の歴史を正当化するのをこれ以上黙って見ているわけにはいかなくなった」などと対日強硬姿勢を示したが、今回はさらに激しい。

 ポイントは「日本が独島に対する権利を主張することは、植民地時代の領土権を主張することだ」とし、「日本が誤った歴史を美化し、それを根拠とする権利を主張する限り韓日友好は成り立たない」と断じている点だ。

 この論法に従えば、日本が竹島の領有権を主張する限り日韓友好はあり得ないということになる。あまりに硬直的な姿勢だ。

 竹島については、歴史的な資料から日本政府は「遅くとも17世紀半ばには日本が実効的支配に基づき領有権を確立していた」と主張している。1905年の島根県による竹島編入は領有の意思の再確認という位置づけだ。

 一方、韓国は6世紀初頭の新羅時代から固有の領土だったと主張する。竹島の日編入は第2次日韓協約で外交権がはく奪されたあとに行われた無効なものであり「領有権は実効支配によって不動」という立場を強調している。

 だが、「実効支配」といっても日本から見れば、1952年の李承晩大統領の一方的な海洋主権宣言によるものということになる。

 複雑な歴史的背景を抱える領有権問題は主張がぶつかり合うのが常だ。だからこそ、双方の指導者には冷静な対応が求められる。今回でいえば、海底地名の件は純粋に学術的な問題として取り扱うのがスジであり、領有権や排他的経済水域EEZ)の問題とからめるべきではない。その点で、谷内正太郎外務次官が竹島周辺海域の日韓共同調査と共通名称を提案しているのは理にかなっている。

 韓国は公式には日韓間に領土問題は存在しないという立場だが、大統領が竹島問題で特別談話まで出したこと自体が領土紛争の存在を認めている。しかも、大統領は日韓の対立点について、すべて日本が間違っていると強調する。

 そこまで言うなら、なぜ国際司法裁判所への付託に同意しないのか。これでは、海底地名問題での国内での弱腰批判をかわすための政治的ポーズととられても仕方あるまい。

 大統領は「世界世論と日本国民に日本政府の不当な処置を訴え続ける」とも語っている。自国の立場を内外に向けて語るのもいいが、一方的な発信では共感は得られない。

http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060426k0000m070159000c.html
毎日新聞 2006年4月26日 0時13分

 朝日社説を読んだ後にこれを読むとはるかに良文に思えるのは私だけでしょうか(苦笑

 この論法に従えば、日本が竹島の領有権を主張する限り日韓友好はあり得ないということになる。あまりに硬直的な姿勢だ。

 だが、「実効支配」といっても日本から見れば、1952年の李承晩大統領の一方的な海洋主権宣言によるものということになる。

 珍しく(失礼)いいですねえ、毎日社説。

 朝日社説にはない力強さがあります。

 そこまで言うなら、なぜ国際司法裁判所への付託に同意しないのか。これでは、海底地名問題での国内での弱腰批判をかわすための政治的ポーズととられても仕方あるまい。

 大統領は「世界世論と日本国民に日本政府の不当な処置を訴え続ける」とも語っている。自国の立場を内外に向けて語るのもいいが、一方的な発信では共感は得られない。

 うん、この結語もすばらしいです。

 そこまで言うなら、なぜ国際司法裁判所への付託に同意しないのか。

 この一語に尽きますね。

 ・・・

 朝日社説よ、どうせ他国の大統領を批判するならば、毎日社説ぐらい、切れ味鋭く批判しなきゃ意味ないでしょ。

 「過去、日本は朝鮮半島を植民地にして多大な迷惑をかけた。そのことは真摯(しんし)に反省していかなければならない。」とか「侵略戦争の責任者もまつる靖国神社に首相が参拝するのは理が通らない。」とか、領土問題と関係ないでしょ。

 ましてや「そうした点について、私たちは社説でこれまで何回も訴えてきた。」なんて、ノムヒョンさんの批判しているのにノムヒョンさんに媚び売ってどうすんのさ(苦笑

 ・・・

 ふう。

 所詮まだまだ朝日は『書生的な問題意識』から抜け出せないのですかねえ。

 やれやれ。



(木走まさみず)