木走日記

場末の時事評論

禁煙サディズムVS喫煙マゾヒズム〜キオスクよ!駅構内全面禁煙するならたばこ売るんじゃねえ!

kibashiri2006-03-30




●韓国・中央日報の記事〜成人男性の喫煙率、初めて‘半分以下’に

 昨日(28)の韓国・中央日報記事から・・・

成人男性の喫煙率、初めて‘半分以下’に

成人男性のうち非喫煙者の割合が半分を超えたことが調査で分かった。 喫煙男性は減り続けてきたが、非喫煙者が喫煙者を上回る調査結果が出たのは今回が初めて。

保健福祉部(福祉部)は、韓国ギャラップが全国の成人男性751人を対象に調査した結果、喫煙率は49.2%となったと28日、明らかにした。 成人男性の喫煙率は1980年の79.3%をピークに減少を続けている。

たばこ値上げ前の04年9月(57.8%)に比べると、8.4ポイントも下がっている。 04年9月の調査と今回の結果を比較すると、年齢別では60歳以上の喫煙率が45.3%から30%へと15.3ポイントも減った。 50代は50.4%から40.8%に、20代は66.2%から58.5%に、30代は61.1%から56.8%に低下した。

一方、成人女性774人を対象にした調査で女性喫煙率は3.3%となり、昨年12月の調査(2.7%)に比べてむしろ0.5ポイント増えた。

鄭鉄根(チョン・チョルグン)記者

2006.03.28 16:28:34
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=74125&servcode=400§code=400

 ふーん、韓国の成人男性喫煙率が49.2%と5割をきったのですか。これでも、ずいぶん高いなあと思いますが、1980年ピークの79.3%に比べれば激減してるのですね。

 興味深いのは、成人女性の喫煙率でして、3.3%とは前回より増えたのだそうですが、男性に比べて異常に少ない率なことです。

 やはり、儒教国家ということもあり、人前で女性が喫煙することへの抵抗感というものが韓国国民の間に根強くあるのでしょうか、この成人女性の喫煙率の低さはまだまだ韓国社会には男尊女卑的な慣習が残っているひとつの証左なのかも知れません。

 ・・・



●北京週報(日本語版)〜全世界で毎年500万人が喫煙による疾病で死亡しているうち4分の1が中国人

 そういえば最近の北京週報(日本語版)でも興味深い記事が掲載されています。

(前略)

驚くべき数字

彼女は大多数の喫煙者と同様、喫煙が体に及ぼす害についてしっかりと理解していないようだ。

世界保健機構(WHO)の統計によると、全世界で毎年500万人が喫煙による疾病で死亡している。うち4分の1が中国人だ。

たばこ規制専門家の楊功煥教授がまとめた統計では、2000年の医療費総額のうち、たばこに関係する疾病が12%、486億元を占めた。楊教授は「現在、たばこによる医療費の上昇率はたばこ産業の利益の伸び率をはるかに上回っている」と指摘。

さらに楊教授は、たばこが中国人の健康にもたらす害は2030年にピークに達すると警告を鳴らしている。中国ではたばこによる重大疾病は主にがん、心臓・脳血管疾病、喘息だ。

たばこがもたらす深刻な害は喫煙者だけに限らない。中国ではまだ重視されていないが、副流煙による害、間接喫煙による害だ。中国では非喫煙者の大半が間接喫煙者、とくに張さんの息子のように乳児や児童が父母から間接的に害を受けている。

たばこが健康を損ない、疾病をもたらすことは広く知られながら、世界的な範囲から見ると、中国ではたばこ規制運動はとくに厳しい状況にある。医療保険システムがまだ完備されていないため、低所得者は経済的理由で診察を受けられず、農村では病気が原因で貧困になるケースがかなり多い。

たばこは唯一、健康を著しく損ねる害がありながら法的に認められた消費品だ。しかも貧困と密接な関係がある。WHO中国事務所代表のベケダム博士によると、西南部の貧しい貧困地区では、たばこの支出が家庭収入の11%を占め、生活必需品の支出を上回っているという。

(後略)

北京週報(日本語版) 「禁煙」に新たな動き 記事より抜粋 
http://www.pekinshuho.com/jp2005/2005-wj/2006-12/2006.12-zhongyao-1.htm

 いやはや「世界保健機構(WHO)の統計によると、全世界で毎年500万人が喫煙による疾病で死亡している。うち4分の1が中国人だ。」そうでありますが、中国では、たばこの喫煙が「貧困と密接な関係がある」という視点は興味深いですね。

 「WHO中国事務所代表のベケダム博士によると、西南部の貧しい貧困地区では、たばこの支出が家庭収入の11%を占め、生活必需品の支出を上回っているという。」わけですから、なるほど、中国貧困農村部にとってはバカにできない支出なのでしょう。

 中国の喫煙率の正確な統計情報は残念ながら見当たらないのですが、都市部と農村部でも開きはあるのでしょうが、少なくとも嫌煙運動が盛んになっている日本や韓国よりも、高いのは間違いなさそうですね。



●読売新聞中部版の記事〜「喫煙は病気」に抵抗勢力の壁

 で、日本ですが3月9日付けの読売新聞中部版の記事から・・・

「喫煙は病気」に抵抗勢力の壁 

キャンパス全面禁煙の岐阜大学には「禁煙宣言」のポスターが張られている 岐阜大学岐阜市)の各学部棟入り口には、「禁煙宣言」と書かれたポスターが、一目で分かるように張られている。昨年4月から付属病院などを含むキャンパスが、全面禁煙になったためだ。トイレにも禁煙の張り紙がされ、ロビーや食堂からは灰皿が撤去された。さらに、国立大では初めて、禁煙しようとする学生に、成功するまで無償で、はり薬タイプの禁煙補助薬を提供するという徹底ぶりだ。

 取り組みのきっかけは、2001年に就任した黒木登志夫学長(70)が「大学は、学生の健康を守る最後の場」と、学内禁煙に乗り出したことからだ。日本癌(がん)学会長も務め、がん基礎研究の第一人者でもある黒木学長は、個人の好みの問題とされがちな喫煙を、ニコチン依存症と関連疾患からなる病気とする医療現場の認識を基に、禁煙を推し進める。

■ ■ ■

 このように、喫煙は病気との考えが一般にも浸透し、様々な禁煙活動が普及しているが、欧米に比べれば、依然として国内の喫煙者は多いという。日本たばこ産業(JT)の05年調査では、全体的には減る傾向だが、それでも日本人の喫煙率は男性45・8%、女性13・8%に上る。

 今月24日から名古屋市内で開催される日本循環器学会総会の会長を務める同大大学院医学研究科の藤原久義教授(62)(再生医科学、循環・呼吸病態学)は「日本は、欧米に比べて医師の喫煙率も非常に高い」と、指摘する。男性医師の喫煙率は、米国では数%だが、日本では20%を超えるという。

 このため、同総会では出席者を対象とし、「医療従事者の喫煙状況と禁煙指導」をテーマに、禁煙推進セミナーを実施する。

■ ■ ■

 ただ、禁煙の“抵抗勢力”には、手ごわいものがある。岐阜大でも全面禁煙化を導入する際、愛煙家の教員からは「禁煙にしたら大学を辞める」といった声も聞かれた。藤原教授は「どんなに優秀な医師や研究者でも、禁煙したくてもできなかったり、喫煙が引き起こす危険に無関心だったりで、改めてニコチン依存症の怖さを痛感した」と苦笑する。

 こんなつわものを相手に、最近、禁煙治療や禁煙指導をする「禁煙外来」を設ける病院や医院が増えている。岐阜大医学部付属病院でも内科の中に設置され、専門の医師が治療にあたっているが、「専門家の指導の下で、計画的に禁煙治療を進めているが、1回で成功するのは半数程度だ」という。

 「それだけ喫煙の依存性は強い。禁煙を途中で断念した患者を救うには、周囲や社会の理解、サポートが必要だ」と藤原教授。その上で、「喫煙は病気なんだと、社会全体が理解するように意識改革も大切だ」と訴える。

(2006年3月9日 読売新聞)
http://chubu.yomiuri.co.jp/kenko/chubu_iryo/chubu_iryo060309.htm

 この記事によれば日本たばこ産業(JT)の05年調査では、全体的には減る傾向だが、それでも日本人の喫煙率は男性45・8%、女性13・8%に上る。」ということであります。

 しかしなあ、記事には「禁煙の“抵抗勢力”には、手ごわいものがある。」と喫煙者の抵抗を取り上げていますが、藤原教授も「どんなに優秀な医師や研究者でも、禁煙したくてもできなかったり、喫煙が引き起こす危険に無関心だったりで、改めてニコチン依存症の怖さを痛感した」と苦笑しているそうですが、どうなんでしょう。

 全体的には愛煙家の立場は苦しくなる一方なような気がしています。



●「個人のしこうに国家が介入すべきではない」VS「政府が喫煙者の禁煙をサポートするのは適切」で意見割れるたばこ会社

 3月3日付け日経記事から・・・

喫煙率目標値設定、たばこ会社に両論・厚労省部会
 がんなどの生活習慣病対策の一環として喫煙規制を議論する厚生労働省の部会が2日開かれ、日本たばこ産業(JT)などメーカー3社が参考人として出席した。

 同省が喫煙率の目標値設定を検討していることについて、JTとブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BAT)は「個人のしこうに国家が介入すべきではない」「社会が受け入れる状況になっていない」と反対。一方、フィリップ・モリス・ジャパンは「政府が喫煙者の禁煙をサポートするのは適切で、特定の数値目標の設定は政府が決めるべきこと」と賛成、メーカー3社の間で意見が分かれた。 (07:01)

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060303AT1G0202I02032006.html

 ふーん、厚生労働省が喫煙率の目標値設定を検討しているそうですが、なんだかなあどのような数値を設定するのか知りませんが、愛煙家にとってはいやな感じですよねえ。

 まあ、JTとブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BAT)の言い分「個人のしこうに国家が介入すべきではない」は、当に愛煙家が国民の少数派になってしまっている今の日本では、正論とは聞こえづらいでしょうなあ。

 フィリップ・モリス・ジャパンの意見「政府が喫煙者の禁煙をサポートするのは適切で、特定の数値目標の設定は政府が決めるべきこと」と賛成するほうが、国民多数派の非喫煙者に配慮すればたばこ会社としても現実的対応というものなのでしょう。

 ・・・

 ふう。

 やれやれであります。



●怒る小谷野敦東大講師〜煙草はダメで、クルマならいいのかよ!!!!

 昨日の『あんとに庵◆備忘録』さんのエントリー、「禁煙ファシズム」には思わずわらってしまいました。

あんとに庵◆備忘録
■[社会・時事]禁煙ファシズム

http://d.hatena.ne.jp/antonian/20060329/1143568230

 失礼してちょっと抜粋。

 昨日取り上げた「すごい恋愛論」の人が「禁煙ファシズム」の闘う人というのを恥ずかしながら知らなかった。Sekkoさんに指摘されてそういえば見たことのある字面だ。と思い出した次第。

しかもハテナユーザーであった。

以下のように禁煙ファシストに怒りまくっている。

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20060126

煙草はダメで、クルマならいいのかよ!!!!

・・・・・が、彼の持論のようだ。

うむ。規視感を覚えるぞ。わたくしも「喫煙」についてとやかくいわれると「車」を持ち出してへ理屈をこねておった。そう、私は喫煙者である。そして免許を持っていないのである。

 (後略)

 ウフフフ、ヘビースモーカーの不肖・木走を持ってしても、ちょっとこの先生の暴論気味の「禁煙ファシズム」論には付いていけないのですが、気持ちはわかります。

 まあ私などは、「禁煙ファシズム」というよりも、一部の過激な禁煙運動家達の不遜な言動は実は「禁煙サディズム」じゃないのかと、内心思っているのであります(苦笑

 で、私を含め多くの愛煙家はもう自分たちが劣勢であり社会悪であることを自覚してしまっていて、「はい、御指摘の通り、私たちは社会のクズでございます。」てな感じで観念しちゃっています。

 「そっと人様に迷惑掛けぬよう心掛けて、隅っこで吸いますから、できれば喫煙をお許し下さいませ。もちろん、喫煙場所以外では吸いません。もっと責めて、もっといじめてください。」ってかんじで、これはもう「喫煙マゾヒズム」なのです(苦笑

 上記『あんとに庵◆備忘録』さんのコメント欄での不肖・木走の書き込み。

# kibashiri 『>煙草はダメで、クルマならいいのかよ!!!!

 チェーン・スモーカーの私がやって来ましたよ。禁煙ファシズムですかあ、私にはよう言えない台詞ですねえ。最近は街でもオフィスでもほとんど禁煙なので、いつでも肩身の狭い思いをしておりますが、オフィスの隅っこの小汚い喫煙場所で数人で紫煙をくゆらすとき、なんとも惨めで世の中の空気を汚している申し訳ない少数派って感じの羞恥心や屈辱感がたまらなくクセになってきております。さしずめ、私などは「喫煙マゾヒズム」でしょうか。たまーに地方などでみんながぷかぷかすっている場末の待合室などいくと、どうも落ち着かなくてイケマセン(笑)

 数年前ポイ捨て禁止条例が全国で初めて千代田区で施行されたとき、区職員にとがめられるところを夕方のTVニュースに放映された恥ずかしい経験が私にはあります。秋葉原の駅を出たところで、たばこに火を付けたら、TVクルー付きの区職員がやって来て、「スミマセン、今日から千代田区駅周辺での歩きたばこは禁止なんですよ」とかいわれて、もうびっくりでした。で、納得いかなかったのがこっちがたばこを口にくわえてもそばでじーっと見ているだけで注意しなかったくせに、火を付けた瞬間にやってきたんですよね、その職員は。「もっと早く注意してくれればいいでしょ」って文句言ったら、「いやあ、くわえてるだけでは条例違反ではないんで、注意できないのですよ」というよくわからない言い分をいってましたっけ。しかし、当時アキバが千代田区だったとはすっかり失念してたでした。

 ・・・

 ああ、愛煙家はエイズウイルスやBSEや鳥インフルエンザと共に、人類の共通の敵となり絶滅を期待されているわけであります。

 ・・・

 ふう。



●言い訳はしません、しかしキオスクには一言愚痴を言わせて下さい。

 私が吸うたばこの銘柄はマイルドセブンライト」であります。

 その箱の前表紙にも横にも裏にもすごい警告が書かれています。

(表表紙)
「喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます。疫学的な推計によると、喫煙者は心筋梗塞により死亡する危険性が非喫煙者に比べて約1.7倍高くなります。(詳細については、厚生労働省のホーム・ページwww.mhlw.go.jp/topics/tobacco/main.htmlをご参照ください。)」

(左側面)
「本パッケージに記載されている製品名の「mild、lights」の表現は、本製品の健康に及ぼす悪影響が他製品と比べて小さいことを意味するものではありません。
タール  8mg
ニコチン 0.7mg」

(裏表紙)
「たばこの煙は、あなたの周りの人、特に乳幼児、子供、お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします。喫煙の際には、周りの人の迷惑にならないように注意しましょう。」

 なんだか、ちっともマイルドでもライトでもないヘビーな警告が書き連ねてるわけであります(爆

 で、買う度に罪悪感と羞恥心と屈辱感が喚起されて、「喫煙マゾヒスト」としては、なかなかナイスなパッケージなのではあります(苦笑)。

 ・・・

 全国8000万非喫煙者のみなさん、言い訳はしません。

 しかし、愚痴(やつあたり?)は言わせて下さい。

 私の愛するマイルドセブンライトは定価270円ですが、その売上げの6割強は税収になります。つまり270円のうち170円近くは税金なのです。

たばこ税の事実を知って下さい。
http://www.jti.co.jp/JTI/tobaccozei/index.html

 愛煙家は赤字の国家財政や地方財政にささやかに貢献しているのです。

 え?

 そんなこたあ関係ないって? もっと税率あげちゃえばいいんだですと?

 ・・・

 ふう。

 じゃあ、JTならぬJRに八つ当たりしますです(苦笑

 JRよ!

 駅構内全面禁煙するなら、駅のキオスクでたばこ売るんじゃねえ!!!

 ・・・

 失礼しました。

 え?

 えらそうに文句言うんじゃねえって?

 ・・・

 はい、ご主人様、もっといじめて、もっと責めて下さいまし(涙目



(木走まさみず)