木走日記

場末の時事評論

タミフルの風が吹けばラムちゃんが儲かる〜日本人一億総モルモット?

kibashiri2005-11-25


 今日は、以下のエントリーの追記です。

11月21日
タミフル狂騒曲〜『達成できない計画』と『保証されない効果』の二重奏
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20051121/1132544826
11月13日
●日本政府の行動計画の脆弱性〜抗ウイルス剤「タミフル」に頼っていいのか?
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20051113/1131868226

 タミフルの話題を過去2回ほどエントリーしてきた当ブログでありますが、前回21日のコメント欄でのrice_showerさんの発言がとても興味を引きました。

# rice_shower 『既知の方もいらっしゃるでしょうが、タミフルを実際に開発したのはアメリカのギリアド・サイエンシズ社で、その元会長、大株主がラムズフェルドだと.....。(http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/) FDAのカウンターバランス的動き、原料をアメリカのstrategic competitorたる中国が独占していること、等々メディアリテラシー的に興味の尽きないイシューですね。』 

 ちょっと今日はこのタミフルラムちゃんの関係を検証したいと思いました。



鳥インフルエンザ対策、ラムちゃん大もうけ 保有株急騰〜朝日新聞記事より

 まずは11月5日の朝日新聞から・・・

鳥インフルエンザ対策、米国防長官大もうけ 保有株急騰

 米政府が鳥インフルエンザ対策に巨費を投じると発表したことで米新興医薬メーカーの株価が急騰し、このメーカーの元会長で株主でもあるラムズフェルド国防長官が資産を膨らませている。国防長官は「関連する一切の政策決定に関与しない」としたうえで、当面売却しない意向も示しているが、米ウォール街では「政治銘柄だ」と話題を呼んでいる。

 株価が上昇しているのは、鳥インフルエンザに有効とされる抗ウイルス薬「タミフル」を96年に開発したギリアド・サイエンシズ(本社・カリフォルニア州)。製造権はスイスの医薬大手ロシュに供与したが、特許収入を得ている。国防長官は97年から長官就任の01年1月まで会長を務め、米メディアによると、年初時点で500万〜2500万ドル(約6億〜30億円)相当の株式を保有しているという。

 米政府が1日、治療薬の備蓄強化などに71億ドル(約8300億円)を投じると発表した後、3日までの2日間で株価は約8%上昇。年初からは5割近い高騰で、国防長官の資産は日本円にして少なくとも数億円規模で膨らんだ計算だ。

2005年11月04日11時24分
http://www.asahi.com/special/051102/TKY200511040135.html

 なんだもう20日も前に報道されていたのですね。

 つまり、スイス・ロシュ社は実はタミフルの製造権だけを持っていて、実際タミフルを開発してその特許を有しているのはアメリカのギリアド・サイエンシズ社(本社・カリフォルニア州)なわけですか。

 で、その会社の大株主で元会長がラムズフェルド国防長官なわけですがギリアド・サイエンシズ社の株が急騰してウハウハ資産を膨らませているということですね。

 ・・・

 うらやましいぞ(爆笑

 しかし、胡散臭いですな。

 こりゃブッシュ大統領が8000万人分のタミフル備蓄計画をぶちかましてくれたわけですが、自分の政権内のラムズフェルド氏の息のかかった会社が大儲けするからくりだなんて、アメリカ人じゃなくてもちょっと胡散臭さを感じてしまうわけであります。

 そもそも今まで世界全体のタミフルの消費量の8割を消費してきた日本なんて、こうなると日本人一億総モルモットだったんじゃないのかと勘ぐってしまうのであります。



●週刊誌にたたかれるラムちゃん〜今週号の週間朝日と週間文春のイタイ記事から

 それみたことかどうなのか、早速今週発売の週刊誌に叩かれちゃっていますね。

 まずは週間朝日の記事から該当部分だけ抜粋。

インフルエンザ常識のまやかし『タミフルを疑え』
週間朝日2005.12.02号 P126〜P130より抜粋



新型インフルエンザの「特効薬」として期待され、世界中で備蓄を急いでいる治療薬「タミフル」。しかし、日本で服用後の死者が相次ぎ、副作用が疑われるなど、疑問符が付き始めている。タミフルは本当に、インフルエンザに立ち向かう切り札であり、人類を救う「救世主」となるのだろうか?世間の”常識”にはまやかしがあるのだ。

(中略)

 実は、世界のタミフルの7割以上、インフルエンザの流行時期には9割を、日本で消費しているといわれている。医療保険制度の違いはあるが、タミフルは高価な薬であり、海外では普通のインフルエンザにはあまり使われていない。これが日本では、タミフルを飲んだことのある人は「数千万人に達するのでは」(中外薬品)という、世界的にみると異常な状況なのだ。

(中略)

 タミフルを日本がせっせと使った結果、どのようなことが起きたか。こんな話が伝わってくる。
 タミフルを開発したギリアド・サイエンシズ社(米国)が、製造するロシュに対し、日本での好調な売れ行きを引き合いに出して、「米国をはじめとする他地域での販売努力が不足している」という理由で、ライセンス契約を中止すると脅かしたのだ(今月、両者は和解)。ギ社にとって日本は、タミフルの販売戦略が成功した「おいしい市場」と見られているわけだ。
 ちなみに、タミフルの好調を受けてギ社の元会長で大株主のラムズフェルド米国防長官の資産が膨れ上がったことも報じられている。日本はこんなところでも、米政府を支援しているのだ。

 また、日本の国内の販売を一手に引き受ける中外製薬では、今年1〜6月期の総売り上げ1592億円のうち、タミフルは同社の医薬品で2番目の232億円(約15%)を占める「主力商品」に成長。また株値も、タミフルの備蓄の必要性が強調された今年後半に入って急上昇している。
 同社は今年10月、東京・日本橋の真新しい高層オフィスビルに本社を移転した。同社は「こちらのほうが、コストが安いため」(広報)と説明するが、経営に余裕がある企業でなければできないことだろう。
 タミフルの備蓄を進める一方で、大量に消費する日本。どのようにタミフル使うべきなのか、議論を深めるときではないのか。

(後略)

 タミフルを日本がせっせと使った結果「ギ社の元会長で大株主のラムズフェルド米国防長官の資産が膨れ上がったことも報じられている。日本はこんなところでも、米政府を支援しているのだ。」とは、さすが週刊誌とはいえ朝日グループであります(爆

 で、週間文春の記事は、もっと辛辣でして、題して「新聞・TVが怖くて書けない新型インフルエンザ『10大タブー』」というものなんですが、その10大タブーの見出しはこんな感じ。

新聞・TVが怖くて書けない新型インフルエンザ『10大タブー』
週間文春2005.12.01号 P176〜P181 より見出しだけ抜粋



【死者六十四万人の厚生労働省予測のインチキ】
【流行のH5型鳥インフルエンザは、新型に変異しない】
【インフルエンザに効くワクチンはない】
【ワクチンの効果がないのは、国も認めていた】
【ワクチンの深刻な副作用】
【わが子をインフルエンザ脳症で死なせないために】
【世界中のタミフルを八割集めた日本の問題】
【危険なタミフルの副作用】
タミフルで大儲けする人たち】
【インフルエンザ予防の決定版】

 で、注目は9番目のタブータミフルで大儲けする人たち】です。

タミフルで大儲けする人たち】
 米国、ラムズフェルド国防長官は、タミフルの特許を所有しているバイオテック企業の「ギリアド・サイエンシズ社」の株を所有しており、インフルエンザの驚異で大儲けしているという。連邦資産公開申告書によると、ラムズフェルドが所有する株数は明らかにされていないが、鳥インフルエンザの流行の懸念により、ギリアド社の株は三十五ドルから四十七ドルに急騰。ラムズフェルドも少なくとも百万ドルの儲けはあったものと見られている。
 彼だけではない、ジョージ・シュルツ国務長官も、ギリアド社の役員として二00五年度に入ってから、同社の株を七百万ドル分売却している。

 おやおやラムズフェルド国防長官だけでなくジョージ・シュルツ国務長官もつるんでいたのですか。

 しかしなんだかなあ

 『風が吹くと桶屋が儲かる』ということわざじゃないですが、『タミフルの風が吹けばラムちゃんが儲かる』という案配なわけですね。

 ・・・

 しかし、冷静に考えてみると腹が立ってきました。

 これらの記事を読んでもどうやらタミフルはやはり特効薬でも何でもないのであって、こうなると副作用とかためすために、日本人一億総モルモットだったんじゃないのかとの疑念にマジでかられてしまうのです。

 どうなのよ、ラムちゃん

 ・・・

 ふう。

 なんか脱力してしまいました。



(木走まさみず)



<参考サイト>
 とっても参考にさせていただいたブログです。

非国際人養成講座
タミフル問題 コケにされる私たち
http://hikokusaijin.seesaa.net/article/9699860.html

<参考アメリカサイト>
 いちおうアメリカのサイトも色々調べましたので、興味のある方は以下をご覧ください。

 問題のギリアド・サイエンシズ社の公式サイトはこちら。

ギリアド・サイエンシズ社(米国)のホームページ
http://www.gilead.com/wt/home

 で、週間朝日が報じていた ギリアド・サイエンシズ社(米国)がロシュに対しライセンス契約を中止すると脅かした件で今月両者の和解した件関係はこちら。

Gilead and Roche End Tamiflu® Dispute; Expanded Collaboration Includes Gilead Role in Oversight of Manufacturing and Commercialization
http://www.gilead.com/wt/sec/pr_783456

 で8年前のラムちゃんの会長就任ごあいさつはこちら。

Donald H. Rumsfeld Named Chairman of Gilead Sciences
http://www.gilead.com/wt/sec/pr_933190157/

 最後におまけでめちゃくちゃにラムちゃんを怒っているアメリカ人のサイト(苦笑)はこちら。

Rumsfeld To Profit From Bird Flu Hoax
http://www.mercola.com/2005/oct/25/rumsfeld_to_profit_from_avian_flu_hoax.htm#