木走日記

場末の時事評論

『大義の支持者』と『真理の探究者』

私はインターネット新聞JANJANの市民記者登録をしています。いくつか記事を書かせていただいてますが、私のスタンスをご紹介するテキストとして、以前別のサイトで書き込んだテキストを以下に転載します。

 『トンデモ科学の見破りかた』(ロバート・アーリック著:草思社)は興味深い本です。たとえば、「銃を普及させれば犯罪率は低下する」というトンデモない主張について、科学的検証を試みています。

 その本の中で物理学者でもある著者のロバート・アーリックはこうのべています。

あらゆるトンデモない考えは単にそれを支持する証拠を見つけるだけでは真実であることは証明されない。ひとつのトンデモない考えの正しさを証明する最善の方法は、それが誤りであることを示すあらゆることをやってみて、それに失敗することなのだ。

 日常生活において、対立する科学的な主張の真偽を両陣営にたつ専門家たちの主張を判断しながら、一般市民側が自分自身でどちらの主張を支持するか決めなければならないことがあります。

 たとえば、最近のJANJANの話題から挙げると、「携帯電話は危険か?」「地球温暖化はCO2に起因するのか?」「原子力発電所直下型地震に耐えられるのか?」などなど。

 専門家ではない一般市民側にとって、真実かどうか判別するのは勿論容易なことではありませんが、最も重要なことは、『大義の支持者』に陥ることなく、『真理の探究者』の姿勢を保つことです。

 もし、あなたが「原子力発電所直下型地震に耐えられるはずがない」と判断してしまっていてすでにその考えの『大義の支持者』に陥っているなら、おそらく、この論争の双方の陣営の論証を公平に評価したいとは思わないでしょう。

 実はこの考え方は二重に危険なのです。ひとつはもし、『大義の支持者』が科学的検証性を捨て、自分の信じていることが正しいと思いこんでいるのならば、「原子力発電所直下型地震に耐えられるはずがない。なぜならば私がそう信じているから」と主張しているのと同じだからです。議論はそこで停止であります。

 そうではなく、科学的検証性を考慮した上で『大義の支持者』になった場合でも、反論に耳を傾けない姿勢はやはり危険なのです。なぜなら、科学はつねに進行中の過程であり、現在の真理はつねに暫定的な真理という性質を持っているからです。

 『大義の支持者』とは違って、『真理の探究者』はなによりもまず、自分たちが確実に知りうることについてつねに謙虚で、新しい証拠(自分たちの見解を支持するものも、それに反対するものも両方ともに)に心を開いていなければならないのです。

 「真実であってほしい」と願うことと、「科学的真実」とが一致するしないに関係なく、僕たちは科学的実証が必要な政治的選択の基盤を、可能な限り最良の科学に置くべきなのだと思います。

_●僕がJANJANに記事を投稿してみた理由
 僕は個人的にエネルギー問題と主に東アジアの環境問題に関心を持っています。理由のひとつには、イデオロギー論抜きで科学的議論が成立しうる議題だからです。きわめて個人的な話ですがイデオロギー論は苦手であり、興味が無いわけではないのですが、どちらかと言えば発言者ではなく聞き手になるほうが好きだからです。

 それはさておき、JANJANには多くの「ダム建設反対論」や「原発反対論」の記事が掲載されてきました。

 機会があるごとに、僕は別の考え方(この場合主として政府側・行政側になります)を提示して、両論併記の形で議論しませんかと提案してきたつもりです。

 それは、僕自身にたいする戒めでもあるのですが、『大義の支持者』ではなく『真理の探究者』としての姿勢を示したかったからです。

 しかし、この方法は、ごぞんじのとおりJANJANにおいては受け入れられませんでした。僕の意見はときに、『揚げ足取り』とみなされ、中には『保守主義者』のレッテルを貼る読者も出現しました。それはあたかも、自分たち自身の動機が正当であると信じ、敵陣営は卑劣な意図をもっていると確信しきっているように思えました。

 僕は彼らが信じるところの敵陣営でもなんでもなく、ただ科学的アプローチを提案しているのにすぎないのですが、僕の動機は信用されませんでした。

 そこで、今回六ヶ所再処理工場記事が掲載されたのを機会に、「意見」ではなく両論併記の「記事」を投稿してみたのです。これは僕にとってひとつの試みです。(そもそも僕の記事を掲載してくれるのかは現時点ではわかりませんが)

 僕的には、以前から意志表明してきましたが、ここにも書き込みながらJANJANにもしばらく書き込もうと思っています。

 そのへんは自由にスーダラと僕流でいこうと思っています。


(木走まさみず)

インターネット新聞JANJANはこちらです。
http://www.janjan.jp/

 その中の私の拙稿はこちらです。
核燃料サイクルの現状〜今、メディアに求められること 2004/12/28』
http://www.janjan.jp/living/0412/0412241921/1.php