木走日記

場末の時事評論

コピペ率93%の首相の2つのテキストが起こした騒動を検証する〜「正直言って新しい切り口なんて残されてないでしょ」この海外コメントに尽きると思う

さて2つのテキストがそっくりであると話題です。

毎日新聞記事から。

首相の被爆地あいさつ「文面が酷似」と怒りの声 官邸HP掲載の全文と同じ構成・表現
毎日新聞2020年8月10日 11時15分(最終更新 8月10日 21時19分)

 8月6日と9日に広島市長崎市の両被爆地でそれぞれ開かれた平和式典での安倍晋三首相のあいさつの文面が酷似しているとして、被爆者から「何のために被爆地まで来たのか。ばかにしている」と怒りの声が上がった。

 官邸のホームページに掲載された双方の全文を比較すると、両市の原爆投下からの復興を称賛した一文や、「広島」「長崎」といった地名などは異なるが、その他は段落数や構成、表現が同じ。結びの段落の言葉も「永遠の平和が祈られ続けている」「核兵器のない世界と恒久平和の実現に向けて力を尽くす」などと完全一致している。(共同)

https://mainichi.jp/articles/20200810/k00/00m/010/072000c

2つのテキストは首相官邸サイトで公開されています。

令和2年8月6日
広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式あいさつ
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0806hiroshima.html
令和2年8月9日
長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典あいさつ
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0809nagasaki.html

2つのテキストがどのくらいそっくりなのか、科学的に分析してみましょう。

私は工学系大学などで講師をしている関係で主に工学系ですが学生の論文を読む機会が多いのですが、剽窃チェッカーでコピペはチェックしています。

剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)とはいわゆるコピペであります、他人の技術的成果物をクレジット表示することなく論文に取り込むという、学術論文では絶対にあってはならない禁じ手であります。

ほっとくと課題レポートなどコピペの巣窟(そうくつ)になってしまうので、最初にしっかりとチェックし学生に突き返し、コピペはバレることを知らしめるのです。

たとえばこのようなのです。

剽窃チェッカー:レポートなどの文がコピペかどうかチェックします
http://plagiarism.strud.net/

さて 「広島あいさつ文」をベースに「長崎あいさつ文」がどのくらいコピペされているのか、数値で示します。

文字数(スペース無視):1202
コピーされた文字:1047

うむ、コピペ率87%であります、タイトルや日付を除けば93%、異なる箇所は5箇所だけです。
赤い部分が広島あいさつ、青い部分が長崎挨拶、黒い部分が共通(コピペ)部分です。

f:id:kibashiri:20200814110704p:plain
首相官邸サイト公開文書より『木走日記』作成

学生A君(広島あいさつ)をコピペした学生B君(長崎あいさつ)のレポートなら完全にアウトであります、突き返します。

ただ今回は2つのレポートは共に文責が安倍晋三氏であり、たとえ一言一句違わなくとも再利用は個人の自由ではあります、剽窃には当たりません。

日本メディアが首相そっくりあいさつを批判している本件は、海外メディアでも複数とりあげられています。

英ガーディアン紙は「日本の首相が広島と長崎で怒りを巻き起こした」と報じています。

Japan PM sparks anger with near-identical speeches in Hiroshima and Nagasaki
f:id:kibashiri:20200814121505p:plain
https://www.theguardian.com/world/2020/aug/12/japan-pm-sparks-anger-with-near-identical-speeches-in-hiroshima-and-nagasaki

さてこの記事のコメント欄が外国人からのコメントが2000を超え沸騰しているのですが、そのほとんどがメディアの報道姿勢つまり本件に関する総理への批判を理解不能と批判するものでした。

下記サイトがそのコメント欄を邦訳されています。

海外「日本が羨ましいぞ…」 日本メディアの安倍批判がくだらなすぎると海外で話題に
http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-3539.html

失礼して、支持の多いいくつかのコメントを日本語サイトよりご紹介。

■ 批判のポイントが本当に分からない。
  WW2の最終局面で都市に原爆が落とされたという、
  かなり似た出来事について別日にスピーチをしたわけだ。
  それで何で似ちゃいけないなんて考えが生まれるわけ?! +565

   ■ 70年以上前の出来事について2回スピーチをするとなると、
     たしかにオリジナルの文言は難しいね。
     米国の大統領が9月11日頃にスピーチをした場合も、
     おそらくはほぼ同じ内容になってしまうだろう。
     話すことは限られてるんだから。 +314

      ■ さらに「2つのビルごとに違うスピーチをしろ」
        って言われちゃうようなもんだぜ。 +128

■ 批判の声が上がるのは分からないでもないけど、
  公平に言って、今さら被らないスピーチは難しいでしょ。 +978

■ これって別に普通のことじゃないか?
  こっちの政治家も選挙期間中に演説をする時は、
  それぞれの都市で同じ内容のスピーチをしてるよ。 +11600

   ■ 日本人はそれだけ政治家に期待してるって事かね。 +4400

      ■ 自分は仕事柄、演説をする機会があるんだけど、
        正直評判の良かった物はやっぱり使い回すよ。
        例えばコメディアンがステージに立つたび、
        毎回新しい事を言わなきゃいけないとしたら、
        かなり大変なことになるわけで。
        みんなも一度やってみれば分かるよ。 +317

■ アルゼンチンの大統領の今年の独立記念日のスピーチは、
  映画「インデペンデンス・デイ」から拝借した物だった。 +3600

   ■ まぁあれは今読んでも鳥肌モノだけどな。 +399

■ この件でアベ氏が批判を浴びてるって言うのはマジなの? +433

   ■ 世界よ、これが2020年の報道だ。 +60

■ ほぼ同じと言っていい2つの出来事へのスピーチだ。
  内容が似通っても驚くようなことじゃないさ。 +5600

   ■ しかも75年前に起きた事だしね……。
     正直言って新しい切り口なんて残されてないでしょ。 +3000

■ ぶっちゃけこれは怒り散らすようなスキャンダルではないね。 +150

■ どれだけ想像を働かせて考えてみても、
  結論としてこの一件はニュースに値しない。 +1500

   ■ アベさんのスピーチそれ自体はニュースじゃない。
     でも外国にまで情報が届くくらい人々が文句を言っていた、
     という事実はニュースに値するだろうな。 +307

個人的には「正直言って新しい切り口なんて残されてないでしょ」、このコメントがすべてであると感じます。

逆に日本国首相の広島と長崎で挨拶の内容が、世界に向けて大きく異なることの方が問題であるような気もいたします。

ふう。



(木走まさみず)

日本共産党に反論する〜「社会主義」と「専制主義」はとても「無縁」とは思えない

日本共産党中国共産党を強烈批判です。

日本共産党機関紙『しんぶん赤旗』記事から。

香港、周庭氏ら逮捕 志位委員長が抗議 釈放要求
社会主義」と無縁の専制主義

 日本共産党志位和夫委員長は11日、ツイッターで次のコメントを発表しました。

 「香港警察が、香港紙創業者・黎智英(れい・ちえい)氏、民主活動家・周庭氏を『国安法違反容疑』で逮捕したことに、強く抗議する。弾圧の即時中止、釈放を強く要求する」「こうした暴圧は『社会主義』とは全く無縁の専制主義そのものだ。人権抑圧は国際問題であり、国際社会が暴挙を許さない声をあげることを訴える」

 志位氏はさらに「中国指導部は、どんな野蛮な手段で香港の民主勢力を弾圧しても、いずれ世界は忘れるだろうと、タカをくくっているのでしょう。ですから、国際社会はこの民主主義破壊の暴圧を決して許さず、批判し続けなければなりません」と述べました。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-08-12/2020081201_02_1.html

まず、香港当局による民主活動家10人に対する逮捕(現在は保釈)という蛮行に国際的非難が沸き上がる中で、日本共産党の堂々の中国指導部批判を、素直に肯定的に評価いたします。

さて気になる一点だけ指摘します。

記事のサブタイトル『「社会主義」と無縁の専制主義』のことです、今一度志位委員長の発言を記事より抜粋。

こうした暴圧は『社会主義』とは全く無縁の専制主義そのものだ。

この発言はいかがなものか。

歴史を紐解けば『社会主義』を目指す共産党政権の一党独裁のその政治手法は、多くの場合専制政治そのものでありました。

古くはソビエト共産党の独裁者ヨシフ・スターリンであります。

スターリンは1930年、ソ連に強制労働収容所管理局「グラーグ」を設立します。

のちに社会主義各国はソ連強制収容所を模倣しましたが、それは極端に劣悪な環境と非人道的な待遇で悪名高いものでした。

1930年から1940年にかけて、飢餓や重労働、非人道的な扱いにより50万人以上が強制収容所で死亡したとされています、中には詩人や芸術家、学者そして研究者が含まれていました。

スターリンの時代には800万人以上が餓死する大飢饉も発生した。1930年代の大粛清は党や政治局、軍隊、中央政府そして地方政府に対する全面的な粛清に発展し、死亡者数は200万人とも言われています。

スターリンがここまで独裁専制政治を実践できたのは、そもそも共産党政権のもつプロレリアタート独裁すなわち政治ライバルのいない共産党一党独裁政治があり、さらに一党独裁を実現する手法として党内の派閥・分派を一切許さない『民主集中制』この制度が、極めて専制主義と親和性を有していたわけです。

スターリン以降も、多くの東欧国家や北朝鮮などで、独裁専制政治が生まれてまいりました、ご承知のとおり、北朝鮮は現在も「専制主義」が進行形であります。

共産党による『民主集中制』は、当然ながら一切の「体制批判」を許しませんから、今の中国のように、デモなどの反体制活動や指導部を批判する反体制報道は許されません、厳しく弾圧を受けます。

以下の北京週報記事は中国における「民主集中制」を自画自賛しております。

民主集中制――中共中央政策決定の根本的制度
http://www.pekinshuho.com/jd90/2011-05/13/content_360509.htm

記事より「民主集中制の長所は数多い」箇所を一部抜粋。

民主集中制の長所は数多い

民主集中制にはどんな長所があるのか。換言すれば、民主集中制にはどんな優位性があるのか。簡単に言えば、民主集中制による政策決定を経て、集団の智恵を集め、勝算を強め、過ちを少なくし、しかも即時に実施できることである。鄧小平氏は「民主集中制もわれわれの優越性である。この種の制度は人民を団結させるのに至便であり、西側の民主に比べて長所が多い。われわれがある決定をすれば、すぐに実施することができる」(鄧小平文選第3巻257頁)と指摘。

鄧小平氏は「西側の民主に比べて長所が多い。われわれがある決定をすれば、すぐに実施することができる」と述べています。

一切の反論は認められないので西側に比べて「決定をすれば、すぐに実施することができる」点は確かに「長所」と言えなくもありません。

しかしこの「一党独裁政治」「民主集中制」を確立する影で、一切の体制批判を許さない弾圧、党内の分派活動を認めない弾圧、共産党政治はどうしても「専制主義」的特徴を保持し具現化してしまうと言えないでしょうか。

日本共産党も「民主集中制」を採用しています。

しんぶん赤旗の記事ではQ/A形式で「民主集中制」の説明を試みています。

日本共産党民主集中制とはどんなもの?
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-03-14/2009031412_01faq_0.html

 〈問い〉 日本共産党が組織原則にしている民主集中制はどういうものですか。旧ソ連スターリン時代のやり方とどう違うのですか。(兵庫・一読者)

 〈答え〉 民主集中制は、あくまでも日本共産党の内部の規律です。一般社会に押しつけるものではなく、党員が、党の一員としての自覚にもとづいて自発的に守るべきものです。

共産党も「民主集中制」の評判の悪さはよく承知しています、解答でわざわざ「一般社会に押しつけるものではなく」と一般のみなさんには押し付けませんよと断りをいれています。

・・・

まとめます。

日本共産党中国共産党を強烈に批判した事実は強く肯定評価します。

しかしその批判の中の今回の香港当局による民主活動家逮捕を

社会主義」と無縁の専制主義

この、評価はいただけません。

歴史を紐解けば、理想的「社会主義」を目指す多くの現実の共産党政権はプロレリアタート独裁政治実現のため、悪名高き「民主集中制」による、反体制派弾圧を繰り返してきました。
今回の香港における民主活動家逮捕も、一党独裁中国共産党が体現する「社会主義」の現実、つまり「民主集中制」による排他的独裁「専制主義」ととらえるのが素直な見方でありましょう。
世界の過去と現在の共産党政治を見る限り、「社会主義」と「専制主義」はとても「無縁」とは思えません。



(木走まさみず)

「被爆国日本には核兵器禁止条約に参加する責務がある」(朝日社説)に反論する

10日付けの朝日新聞社説は、『被爆国の首相 核禁条約に参画せよ』との社説を掲げています。

(社説)被爆国の首相 核禁条約に参画せよ
2020年8月10日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14581407.html?iref=pc_rensai_long_16_article

社説は冒頭、安倍首相に「核兵器禁止条約に背を向けるのではなく、参画に向けて動くべき」と要求します。

 安倍首相に改めて求める。唯一の戦争被爆国として、核兵器の開発や実験、製造、保有、使用などを許さない核兵器禁止条約に背を向けるのではなく、参画に向けて動くべきだ。

朝日社説はその結語で、「核兵器は「必要悪」ではなく「絶対悪」だ。核禁条約が体現するこの考えを追求する責務が、日本にはある」と結ばれています。

 核兵器は「必要悪」ではなく「絶対悪」だ。核禁条約が体現するこの考えを追求する責務が、日本にはある。「核の傘=核禁条約に不参加」という思考停止に陥ってはならない。

日本の核禁条約の参加・不参加の是非はここでは問いません。

私が強く違和感をもったのは、朝日の次の主張です。

(唯一の被爆国である)日本には核禁条約が体現するこの考えを追求する責務がある

なぜ原爆を一方的に投下された被爆国日本に、核兵器禁止条約参加に対する「責務」すなわち「責任と義務」が生じてしまうのか、加害側のアメリカにこそ「責務」があるのではないのか?

少し歴史を振り返ります。

1945年8月6日午前8時15分、B-29エノラ・ゲイ)によって投下された原子爆弾リトルボーイ広島市内ほぼ中央に位置するT字形の相生橋が目標点のほぼ上空580メートルで炸裂しました。

全長3.12m、最大直径0.75m、総重量約5t、濃縮ウラン型のこのリトルボーイ (Little Boy) は、甚大な被害をもたらしました、当時の広島市内には34万人の人がいた中で、爆心地から1.2kmの範囲では8月6日中に50%の人が死亡、12月末までに14万人が死亡したと推定されています。

つづく8月9日に長崎への原爆投下とソ連の対日宣戦布告があります。

8月9日午前11時2分、B-29(ボックスカー)が長崎市原子爆弾ファットマンを投下いたします。

長さ3.25m、直径1.52m、重量4.5t、プルトニウム型のファットマン(Fat Man)は、長崎市の北部(現在の松山町)の上空550mで炸裂いたします。

当時、長崎市の人口は推定24万人、長崎市の同年12月末の集計によると被害は、死者7万3884人にのぼります。

この長崎原爆投下のわずか6日後の8月15日、日本国政府ポツダム宣言を受諾、連合国に対し無条件降伏を宣言いたします。

長崎市のサイト『長崎市平和・原爆 原爆の記録』では、アメリカによる原爆投下の理由を次のように説明しています。

原爆投下への道

1938年(昭和13年)にドイツで発見された核分裂は、原爆に応用できることが示唆された。 1942年(昭和17年)、アメリカはマンハッタン計画を発足させ、当時の日本の国家予算をしのぐ巨費を投じて原爆を開発した。原爆はドイツを対象に開発されたが、後に目標を日本に変更、京都など18か所が候補に上がったが、結局、1945年(昭和20年)8月6日広島、同9日長崎に投下された。原爆投下の理由として、早期終戦のためと言われているが、20億ドルを投じたマンハッタン計画を誇示する目的もあった。また、ソ連との冷たい戦争の最初の作戦という性格も持っていた。

https://nagasakipeace.jp/japanese/atomic/record/sequence/kaihatsu.html

実は「原爆投下」の理由は必ずしも「早期終戦のため」だけではありませんでした。

米紙ロサンゼルス・タイムズは5日、広島、長崎への原爆投下を巡り「米国は核時代の幕を開ける必要はなかった」と題し歴史家らが寄稿した記事を掲載しています。

Op-Ed: U.S. leaders knew we didn’t have to drop atomic bombs on Japan to win the war. We did it anyway
f:id:kibashiri:20200811130538p:plain
https://www.latimes.com/opinion/story/2020-08-05/hiroshima-anniversary-japan-atomic-bombs

記事によれば、トルーマン大統領(当時)が原爆を使わなくとも日本が近く降伏すると認識していたことは証明済みだと指摘しています。

暗号解読によって,日本がソ連を通じて和平交渉を求めていることを知ったアメリカは、ソ連の対日参戦前に日本は降伏してしまう可能性を逆に恐れます。

最強兵器の威力を実証しないうちに大戦が終了すれば、戦後、米議会は原爆の威力を理解できず、予算を縮小するであろう。さらに、世界最強の軍隊であることを証明をする機会も失えば、ソ連を抑えて世界の覇権を掌握することも困難になるからです。

アメリカが急いで8月6日と8月9日に2種類の原子爆弾を投下した理由は、「日本を降伏させるため」という通説とは逆に、日本が降伏する前に原爆を投下してその威力を見せつけるためだったのだといいます。

・・・

京都を含めた18の原爆投下候補都市の中から、広島、長崎の2都市が選択されたのは完全にアメリカの都合です。

特に長崎は、本当の投下予定の小倉市の天候が悪く当日長崎に変更されたものです。

我が国が唯一の被爆国になったその責任は、さまざまな理由により原爆投下を強行したアメリカにあることは明白であります。

アメリカの原爆投下のその戦争犯罪性は厳しく議論されて当然でありましょうし、筆舌に尽くしがたい苦痛を味わってきた被爆者やその家族の心情を思い計ることは、唯一の被爆国である日本にとり決して軽視してはいけない大切な当然の配慮でありましょう。

朝日新聞は主張します。

原爆を一方的に投下された被爆国日本に、核兵器禁止条約参加に対する「責務」すなわち「責任と義務」があるのだと。

なぜ爆弾を投下する側ではなく投下された側に「責任と義務」が発生するというのか?

日本が降伏する前にその威力を見せつけるために原爆を投下したアメリカ、その身勝手な投下理由の加害者アメリカの「責務」ではなく、唯一の被爆国・被害者日本に「責務」が発生してしまうのか?

無論、被害者日本に「核兵器禁止」を主張する「権利」があるのは自明です。

その意味で長崎市長広島市長の「核兵器禁止」の主張を尊重いたします。

また筆舌に尽くしがたい苦痛を味わってきた被爆者やその家族の心情を思い計ることは、唯一の被爆国である日本にとり決して軽視してはいけない大切な当然の配慮でありましょう。

しかしそれらは「責務」では断じてないはずです。



(木走まさみず)

「新タイプのウイルス、6月に突然出現」(読売記事)を統計的に検証

8日読売新聞が「国立感染症研究所の研究チームが公表」として、「新タイプのウイルス、6月に突然出現…東京から感染拡大」とスクープ記事を飛ばしています。

新タイプのウイルス、6月に突然出現…東京から感染拡大
2020/08/08 07:46

 新しいタイプの遺伝子配列を持つ新型コロナウイルスが、6月以降全国に広がっているという分析結果を国立感染症研究所の研究チームが公表した。東京から地方への移動によって感染が拡大したことが、ウイルスの遺伝子分析からも推定される結果となった。研究チームは、日本人が感染した新型コロナウイルスの遺伝子に着目。配列の変化と流行の関係を調べた。

 その結果、3月からの感染拡大では、欧州系統の遺伝子配列を持つウイルスによるクラスター(感染集団)が全国各地で複数発生した。5月下旬にいったん収束したものの、6月中旬、東京を中心に新たなタイプの遺伝子配列のウイルスが突然出現。現在、急速に増加している全国の陽性患者の多くが、新タイプに属することが分かった。

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20200808-OYT1T50126/

この記事内容が事実だとすれば、つまり「現在、急速に増加している全国の陽性患者の多くが、新タイプに属することが分かった」ことが事実だとすれば、4月の旧タイプのときの感染者数推移・死者数推移と、今回の新タイプの推移は全く異なる可能性があります。

最新のデータで統計的に検証いたします。

我が国の7日の感染者数が1605人と過去最多を更新いたしました。

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NHK公開データより『木走日記』

4月の第一の波(720人)と比べると2倍以上の値を示しています。

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NHK公開データより『木走日記』

しかし当ブログで統計的に分析した結果、6月以前とそれ以降の感染者と死亡者の推移に明らかに違いが見られるのです。

2月から7月までの半年を半月ごと12区分に分けて大きな推移を表にしてみます。(8月は日数が半月に足りていませんので現在除外しておきます)

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※NHK公開データより『木走日記』作成

直近の1ヶ月(ピンク色)を除くいわゆる第一波の推移を見ますと、感染者数のピークが4月前半6551人、半月のタイムラグをもって死者数のピークが4月後半308人となっています。

2月〜6月の5ヶ月の感染者数と死者数の推移を、縦軸を調整して重ねてグラフ化してみます。

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※NHK公開データより『木走日記』作成

ほぼ半月のタイムラグをもって感染者推移に死者数推移がほぼ綺麗に連動していることが見て取れます。

ここでこのグラフに直近の1ヶ月(ピンク色)を加えてみます。

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※NHK公開データより『木走日記』作成

ご確認いただけるように、直近一ヶ月(ピンク色)では、感染者が激しく増加しているのに死者数の増加が見られません。

明らかに直近1ヶ月の感染者数推移と死者数推移はその動きは連動していません、乖離しています。

明らかに4月のときと異なっているのです。

7月前半に4265人が感染していますから、第一波の連動関係が保たれていれば7月後半には3桁の死者数が発生しておかしくないはずですが、28人にとどまっています。

今だ断定的なことは言えませんが、統計数値を見る限り、今回は感染者数の増加率に比し死者数の増加割合が顕著に減少傾向にあると推測されます。

これは統計的に重要な事象だと思われます。

ウィルスの感染力は強くなりかつ死亡率は著しく低下、つまり弱毒化しつつあるのではないかと思われます。

読売新聞の記事内容が事実だとすれば、つまり「現在、急速に増加している全国の陽性患者の多くが、新タイプに属することが分かった」ことが事実だとすれば、4月の旧タイプのときの感染者数推移・死者数推移と、今回の新タイプの推移は全く異なり今回は死者数の増加率が低いのも、ウイルスのタイプの違いに由来する可能性が出てきました。

もちろん弱毒化してるかどうかは、当然ながら研究者のウイルス株のタイプと症状や罹患日数等の差の統計解析を待たないといけません。

しかしながら統計数値は、6月をさかいに前後して、新型コロナウイルスの感染力は明らかに強くなり、そしてその死亡率は著しく低下していることを示しています、つまり新タイプのウイルスは感染力が強くなりかつ弱毒化しつつあるのではないかと推測されます。



(木走まさみず)

韓国は早く現金化し日本人の財産を一方的に没取してしまえ〜韓国の国際法を無視した勝手な振る舞い・犯罪行為を世界に知らしめる好機

本件に関する事実関係を検証しておきます。

1965年に結ばれた協定の内容を確認しておきます。

「日韓請求権並びに経済協力協定」の内容を抜粋すると次の通りであります。

第一条で対韓国経済援助の金額と方法が具体的に明記されています。

第一条 日本国が大韓民国に経済協力(無償供与及び低利貸付け)する
日本国は、大韓民国に対し、(a)現在において千八十億円(108,000,000,000円)に換算される三億合衆国ドル(300,000,000ドル)に等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて無償で供与するものとする。各年における生産物及び役務の供与は、現在において百八億円(10,800,000,000円)に換算される三千万合衆国ドル(30,000,000ドル)に等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかつたときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約国政府の合意により増額されることができる。(b)現在において七百二十億円(72,000,000,000円)に換算される二億合衆国ドル(200,000,000ドル)に等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付けで、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極に従つて決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて行なうものとする。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html

第二条では、これにおいて「両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める」と明記されています。

第二条 両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める
両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html

この第二条は極めて重要です。

これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。

これは2005年にも当時の盧武鉉ノ・ムヒョン)政権が、日本が当時支払った無償3億ドルの経済協力に請求権問題を解決する資金が含まれている、徴用工問題は韓国政府が担当すべきである、との見解を示しています。

現在の文大統領は当時の側近だったことを忘れてはいけません。

この第二条により国家対国家としては「その国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題」がすべて「完全かつ最終的に解決された」わけです。

これの意味するところは、「個人の実体的請求権の完全消滅」ではなくて、請求権の行為の対象が日本政府から韓国政府に移行した、ということであります。

これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。

図示するとこうです。


※『木走日記』作成

しかるに、日本が当時支払った無償3億ドルは、徴用工問題など韓国政府が担当すべき補償問題には使用されず、後に『漢江の奇跡』と呼ばれる経済発展の原資として経済開発に投入されることになります。

繰り返しますが、この考えは日本政府だけでなく歴代韓国政府も共有してきたものなのです。

・・・

さて、韓国最高裁は2018年、1910-45年の日本による朝鮮半島統治時代に徴用された労働者について、日本製鉄と三菱重工業の損害賠償責任を認定する判断を下しました。

これに基づき、韓国の裁判所からの資産差し押さえ命令の書類が日本製鉄側に届いたと見なす「公示送達」の効力が4日午前0時に発生しました。これを受け、韓国内にある日本製鉄の資産の現金化に向けた司法手続きが始まることになりました。

(関連記事)
韓国元徴用工訴訟、日本製鉄の資産現金化手続きへ-公示送達発効
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-04/QEI5Y9T0G1L801

この決定に韓国政府は「司法を守る」と静観の構えです、歴代の韓国政権が共有してきた認識の放棄であります。

つまり韓国政府は1965年から両国で守られてきた日韓基本条約国際法)よりも、韓国内の判決(国内法)に日韓両国政府及び国民は従えと言っているわけです。

国際法では国家間の合意順守が原則であり、条約は3権(司法、立法、行政)を超越して国家を拘束します。

『条約法に関するウィーン条約』にも第二十七条(国内法と条約の遵守)に「条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない」と明記されています。

第三部 条約の遵守、適用及び解釈
第一節 条約の遵守

第二十六条(「合意は守られなければならない」) 効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。

第二十七条(国内法と条約の遵守) 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない。

https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/vclot.htm

国内法で条約を否定されていたら、国家間の外交は成り立ちません。

したがって今回の徴用工判決は明確な「国際法違反」なのであります。

この事実は一部韓国メディアも気づいています。

(関連記事)
反日の代償」は高い
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/05/2018120580029.html

たとえば朝鮮日報上記記事では、「外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構OECD)加盟国にはほかにない」と極めて「大韓民国の裁判所らしい」と判決の異常性を記しています。

10月30日の徴用被害者(徴用工)に対する韓国大法院(最高裁判決)は極めて「大韓民国の裁判所らしい」判決だ。外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構OECD)加盟国にはほかにないと聞いた。

・・・

国家間の約束を破り、国際法違反の状態をつくっている責任は全て韓国側にあります。

日本政府が韓国政府に報復するそのトリガー(引き金)は、徴用工裁判の日本企業に対する資産差し押さえが実行されるまさに今現在であります。

韓国による理不尽な国際条約違反により、日本人の財産が一方的に没取されるのです。

ことここに至った以上、私は、韓国は一日も早く現金化し日本人の財産を一方的に没取してしまえ、と考えます。

その瞬間この韓国による国家的犯罪行為は歴史に刻印されるのです。

韓国の国際法を無視した勝手な振る舞い・犯罪行為を世界に知らしめる好機であります。



(木走まさみず)

乖離する直近一ヶ月の感染者数推移と死者数推移を検証する

わが国における、新型コロナウイルスの感染者数と死者数の推移を改めて検証しておきます。

2月から7月までの半年を半月ごと12区分に分けて大きな推移を表にしてみます。

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※NHK公開データより『木走日記』作成

直近の1ヶ月(ピンク色)を除くいわゆる第一波の推移を見ますと、感染者数のピークが4月前半6551人、半月のタイムラグをもって死者数のピークが4月後半308人となっています。

2月〜6月の5ヶ月の感染者数と死者数の推移を、縦軸を調整して重ねてグラフ化してみます。

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※NHK公開データより『木走日記』作成

ほぼ半月のタイムラグをもって感染者推移に死者数推移がほぼ綺麗に連動していることが見て取れます。

ここでこのグラフに直近の1ヶ月(ピンク色)を加えてみます。

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※NHK公開データより『木走日記』作成

ご確認いただけるように、直近一ヶ月(ピンク色)では、感染者が激しく増加しているのに死者数の増加が見られません。

明らかに直近1ヶ月の感染者数推移と死者数推移はその動きは連動していません、乖離しています。

明らかに4月のときと異なっています。

7月前半に4265人が感染していますから、第一波の連動関係が保たれていれば7月後半には3桁の死者数が発生しておかしくないはずですが、28人にとどまっています。付け加えると、ここ2日間まだ二日だけですが、8月に入って死者数はゼロとなっています。

今だ断定的なことは言えませんが、統計数値を見る限り、今回は感染者数の増加率に比し死者数の増加割合が顕著に減少傾向にあると推測されます。

統計的に重要な事象だと考え検証いたしました。



(木走まさみず)

東京感染者爆発!!〜しかし重症者数は大きな変化はいまだ見られず

2020年8月1日、東京は平年より11日遅く梅雨明けであります。

昨日(7月31日)は、新たに確認された感染者数が、全国で1580人(東京463人)と過去最多数がまた更新されています。

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NHK公開データより『木走日記』作成

東京都が先行して感染者数が増加していますが、すでに感染者増加は東京都以外の46道府県に広がりを見せています。

東京都と東京都以外の46道府県の感染者数推移を確認します。

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※『木走日記』作成

ひと月半前の6月15日には発生者数72人(東京都48人都以外24人)の三分の二を東京都が占めていました。

その頃は全国的に発生者数が抑制されている中で東京都のみがくすぶるように突出して感染者数を発生させていました。

やがて7月に入ると感染者数の発生は東京都から東京都以外の道府県に飛び火するようになり、7月4日には発生者数274人(東京都131人都以外143人)の内訳が、都以外の発生数が逆転して過半数を占めるようになります。

直近のここ(7月31日)へ来て、東京都以外の人数は1116人と東京都463人の2.5倍を占めています。

東京都の数値が過去最多数更新している中で、そのペースを上回るように全国で感染者が増加していることがグラフで確認できます。

しかしです。

この状況でひとつの重要な指標について確認しておきます。

重症患者数です。

連日のように過去最多数が更新されている東京都で、ここ2ヶ月の重症患者数の推移を確認します。

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※東京都の公開データより『木走日記』作成

ここ二ヶ月(6月1日〜7月31日)で、6月1日29人から漸時減少傾向にあり、7月11日にボトム値(5人)を記録してから反転、増加傾向を示すも、7月31日現在16人となっております。

もう少し期間を伸ばして見守る必要はありますが、東京都で初めて200人を越した7月9日からすでに22日経過していることを考慮すると、感染者発生から約10日のタイムラグをえて増加し始める重症者数なはずが、その兆候が見られないのです。

東京都だけの傾向ではないようです、ここにきての全国的な感染者数急増フェーズにおいて、重症患者数が10日ほどのタイムラグを考慮しても一向に同じペースの増加を始めないのです。

明らかに4月のときと異なっています。

東京が200人超えしてから、すでに23日も経過しています、しかし東京の重症者数はグラフで確認した通り、感染者数爆発に見合うような大きな変化は見られません。

断定的なことは言えませんが、統計数値を見る限り、今回は重症化の割合が減少傾向にあるのかもしれません。

引き続き重要な指標である、重症患者数の推移を注視してまいりましょう。



(木走まさみず)