木走日記

場末の時事評論

安倍トランプ自取り写真(日米蜜月)を羨む韓国〜韓国の外交四面楚歌は無能な文政権の外交無策が招いた自業自得だ

少し長めのエントリーです、お時間に余裕のある読者はお付き合いください。

まずは、トランプ大統領と安倍首相の自撮り写真です。

首相官邸ツイッターで公開されたトランプ米大統領(左)と安倍晋三首相の自撮り写真が話題になっております。

f:id:kibashiri:20190528102411p:plain
https://twitter.com/kantei/status/1132481574547513344

この写真ですね、あっという間にネットで拡散、海外でも大きく取り上げられます。

例えば英BBCの以下の記事です。

Trump in Japan: US president backs Abe-Kim talks
f:id:kibashiri:20190528105308p:plain
https://www.bbc.com/news/world-asia-48421424

米大統領、安倍-金(委員長)会談を支持」("US president backs Abe-Kim talks")と題した記事なのですが、この記事の終わりに自取り写真が使われています。

f:id:kibashiri:20190528110041p:plain
https://www.bbc.com/news/world-asia-48421424

記事はトランプ大統領の発言で締められています。

Mr Trump and Mr Abe are regular golf partners, and Mr Trump has said they have "very, very good chemistry".
トランプ氏と安倍氏はゴルフ仲間であり、トランプ氏は「(私たちは)とてもとても相性がいいんだ」と言っている。

この写真ですが、日米二人のリーダーの童心に帰ったような無邪気な屈託無い笑顔が、普段見られないと話題を呼んでいるようですね。

この写真を見ての海外の反応コメントをこちらのサイトが邦訳されています。

海外「これこそ本物の外交だ!」 安倍総理トランプ大統領の自撮り写真が大反響
http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-3080.html

失礼していくつかのコメントをご紹介。

■ 二人とも本物の笑顔ですね。
  そして、二人とも素晴らしいリーダーです☺️ +7 アメリ

■ テクノロジーと文明の発展度において、
  世界1位と2位の先進国の首脳のツーショット👍👍 +6 ベトナム

■ 認めたくない。認めたくないけど、可愛い😂 +1 ノルウェー

■ 2人は完全に心を開き合ってるな……。 +210 国籍不明

■ 2人揃って、なんて可愛らしい笑顔なんだ😆 +3 台湾

■ 「世界は我々がいるから大丈夫だ」
  そういうメッセージが込められた笑顔のように見える。 アメリ

■ この2人がゴルフをしてるということは、
  世界が平和であるというこれ以上ない証拠。 カンボジア

■ ファーウェイのスマホで撮影してたりしてな😂 国籍不明

■ アベさんにしてもトランプさんにしても、
  こんな風に笑うところ、私初めて見たかも。 オランダ

■ 昔は戦争までしたのに、日本人はアメリカを全然憎んでない😳 +2 ベトナム

■ トランプさんが誰かと写真を撮るときに、
  あんな自然な笑顔を浮かべてるを見るのは初めてだと思う。 +4 スペイン

■ こうやってお互いに理解を深める事こそ本物の外交なんだ! +2 ベトナム

まあ、この写真、肯定的な報道だけでなく、アンチトランプ陣営などからは、「お前は日本にまで行ってなにしてんだ?悩みないのか?」などと辛辣なコメントもあり、また「これまでも各国はトランプのご機嫌伺いしてきたが、今回安倍は各国のトランプゴマすり競争のハードルを一気に上げてしまった」と、日本の安倍はゴマすりしすぎじゃないか。との批判もあったりしています。

それでもこの屈託のない二人の笑顔の写真は、「こうやってお互いに理解を深める事こそ本物の外交なんだ!」(ベトナム)などと肯定的コメントも多く、安倍さんとトランプさんの仲のいい関係、現在の日米蜜月関係をある意味象徴的に現している自取り写真なのであります。

私はこの写真は政治家安倍晋三個人が持つ素晴らしい外交力の成果なのだと考えます。

失礼ながら歴代首相の誰と置き換えて考えても、このような満面の笑顔の米大統領との自取り写真を取れる方はおりますまい、いや、当時はスマフォはないとかの時代考証はおいといてです。

当ブログでは、6年前にも「安倍晋三のその外交力の異様な高さ」をエントリーしています、お時間のある読者はご一読を。

2013-09-08
オリンピックの東京開催で見せつけた安倍晋三のその外交力の異様な高さ
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20130908/1378617521

さて世界中で話題になっている、今の日米蜜月関係を象徴している今回のこの写真なのですが、ひとり寂しげにそれを見つめている国が韓国なのであります。

28日付け韓国・中央日報社説は「日米は蜜月なのに韓国は『蚊帳の外』」と題しています。

【社説】日米は蜜月なのに韓国は「蚊帳の外」
2019年05月28日06時49分
https://japanese.joins.com/article/812/253812.html?servcode=100§code=110&cloc=jp|main|top_news

社説は「日本と米国の蜜月の中で韓国は孤立状態に進む雰囲気」との分析から始まります。

日本と米国の蜜月の中で韓国は孤立状態に進む雰囲気だ。安倍晋三首相は訪日したドナルド・トランプ米大統領と一昨日のゴルフミーティングに続き昨日は首脳会談を行った。会談で両首脳は北核問題を含めた韓半島朝鮮半島)事案まで話し合った。安倍首相は会談後の記者会見で「北朝鮮情勢を含め十分に時間をかけて方針の綿密なすりあわせを行った」として「北朝鮮問題で日米の立場は完全に一致している」と明らかにした。安倍首相は拉致問題解決のために金正恩キム・ジョンウン北朝鮮国務委員長と直接会うという決意まで見せた。

文在寅ムン・ジェイン)大統領が北東アジアの首脳からそれとなく排除されている雰囲気」と嘆きます、「北東アジアで韓国だけが大海原の中を漂っている局面」だとします。

今回の日米首脳会談を見ると、むしろ安倍首相が北核仲裁者になったようだ。韓国は仲裁者でなく部外者になったような感じだ。文在寅ムン・ジェイン)大統領が北東アジアの首脳からそれとなく排除されている雰囲気だ。トランプ大統領は文大統領が要請した訪韓に対してまだ確答していない。来月に開かれる大阪20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)直後のトランプ大統領訪韓日程はまだ確定していない。日本は大阪G20サミットの時の韓日首脳会談に対して意思がないとしている。習近平中国国家主席訪韓も、最近、取りやめになった。北東アジアで韓国だけが大海原の中を漂っている局面だ。

この後社説は安倍「おもてなし外交」を「トランプ大統領に密着して日本の国益を守ろうとすること」と賞賛します。

日米首脳会談過程でトランプ大統領に対する安倍首相の「おもてなし」(日本式歓待)もやはりもう一度見てみる必要がある。もちろん、やりすぎなくらいだ。安倍首相はトランプ大統領と相撲を観覧し、ゴルフを一緒に打ち、東京六本木の炉端焼きで夕食を取るなど厚くもてなした。日本では安倍首相の過度な“親切”に冷たい視線が向けられているともいう。狙いははっきりしている。安倍首相のもてなしを通じて親交を築き、急変する国際情勢の中心に立ったトランプ大統領に密着して日本の国益を守ろうとすることだ。

それに比べて韓国政府は「あまりにものんびりしすぎている」と批判、社説は「韓日米安保協力体制に基づいて結束の強い首脳ネットワークを構築しなければならない」と無策の韓国政府をうながして終わっています。

韓国政府は緊迫した国際情勢に対してあまりにものんびりしすぎているようだ。文大統領が4月にワシントンで行ったトランプ大統領との首脳会談で単独面談した時間はたったの2分だけだった。韓米首脳が緊密に議論する時間さえなかった。日本とは外交・経済・軍事など葛藤を解消することができずにいる。時限爆弾ともいえる米中衝突の懸念は韓国経済にさらに奥深く広がっている。

韓半島をめぐる北東アジアは、1950年韓国戦争(朝鮮戦争)以降、最大の非常状況だ。米中貿易戦争と北核問題にしっかりと対処できず、一つ間違えれば経済や安保でともに不覚を取りかねない。北核仲裁者はおろか、尻尾を捕えられて振り回される可能性もある。このような時であるほど、韓日米安保協力体制に基づいて結束の強い首脳ネットワークを構築しなければならない。緊迫した国際情勢で悪材料を好材料に変えるためには、だ。

・・・

「韓国だけが大海原の中を漂っている」

ここへ来て「習近平中国国家主席訪韓も取りやめ」、「トランプ大統領訪韓日程はまだ未確定」、「(日本は)韓日首脳会談に対して意思がない」、中国、アメリカ、日本の主要国からほぼ「蚊帳の外」の状態になっています。

それだけでなく肝心の北朝鮮からも文政権は「空虚な甘言、民族への愚弄だ」と罵倒されます。

(関連記事)

北朝鮮が韓国批判の記事「空虚な甘言、民族への愚弄だ」
https://www.asahi.com/articles/ASM5D4SLYM5DUHBI00N.html

これは自業自得です。

ここへ来ての韓国四面楚歌状態、これは文政権の信頼を欠く外交無策が招いた結果です、自業自得というものです。

トランプ大統領は昨年6月と今年2月の2回、金正恩委員長と会談した時までは文政権の「仲裁外交」を信頼し、受け入れる考えだったのです。

ところが、2回の会談で成果を挙げられなかった後は、米国で「文在寅政権は金正恩委員長の非核化の約束をあまりにも無邪気に受け止めているのではないか」という批判が起こっています。

さらにアメリカは北朝鮮瀬取り」問題で、韓国が裏で北を援助しているのではないかと、疑い始めています。
(関連記事)

米国警備艦北朝鮮の「瀬取り」監視で異例の韓国入り 韓国への警告の意図も?
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-11919.php

「同盟国」として韓国を信用できなくなっているのです。

また、対日本では、昨年の韓国大法院(最高裁判所)元徴用工賠償判決が出て以降、日本政府の再三の要請を無視し、文在寅政権は6カ月以上何の措置も取りませんでした。

この文政権の外交無策が、今回日本政府がトランプ大統領の支持を得た「韓国を排除して米国の支援や中国・ロシアの了承の下、北朝鮮との新たな関係を推進する」という方針を招いたと言えましょう。

韓国の外交四面楚歌は無能な文政権の外交無策が招いた自業自得なのだと考えます。



(木走まさみず)

日本の外交政策「自由で開かれたインド太平洋」構想をその名称すら使用せず「中国への牽制という目先の利益」と批判する朝日社説〜朝日新聞の論説がしばしば見せるこのような知的狭量さに辟易してしまう

今回のインド総選挙について日本のメディアがどう取り上げているか、朝日・産経・日経の社説を取り上げます。

ポイントは「自由で開かれたインド太平洋」構想というキーワードであります。

外務省は公式サイトで日本語と英語のPDFファイルを公開しています。

外交政策
自由で開かれたインド太平洋
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page25_001766.html

さて、23日、9億人という世界最大の有権者を抱えるインド総選挙(公選議席543)が開票され、結果は与党インド人民党(BJP)の圧勝の見込み、モディ氏が引き続き今後5年間首相として国のかじ取りを担うことになります。

外交はモディ氏の得意分野で、「自由で開かれたインド太平洋」構想のもと、日本や米国との協力を進めてきました。

(関連記事)

インド総選挙、与党圧勝 モディ首相、続投へ
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14027254.html?_requesturl=articles%2FDA3S14027254.html&rm=150

安倍晋三首相は23日、外国首脳として選挙後初の電話会談で早速祝意を伝え、蜜月ぶりを示します。日本の外交関係者は「今後5年の日印関係は、安全保障や経済協力など最良の期間になる」と話しました。

さて、安倍首相が唱え始め米印豪など各国に支持されている「自由で開かれたインド太平洋」構想ですが、簡単にまとめておきます。

「自由で開かれたインド太平洋戦略」という言葉は、安倍晋三首相が2016年8月、ケニアで開かれた第6回アフリカ開発会議TICAD Ⅵ)で初めて使ったものであります。

今では、アメリカもこれを主張するようになっています。それゆえ、これを米中対立の一環と捉え、また、中国の「一帯一路」と対抗するものと捉えている人も多いのです。

当初日本は「インド太平洋戦略(strategy)」と「戦略」というともすれば攻撃的排他的な用語を使っていましたが、最近では名称を「インド太平洋構想(vision)」に修正しています、「戦略」という言葉で中国を警戒させるよりも、東南アジア諸国連合ASEAN)で中国に近い国々が賛同しやすくなるためです。

(関連記事)

インド太平洋、消えた「戦略」 政府が「構想」に修正
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37648990S8A111C1PP8000/

いずれにしても日米が唱える「自由で開かれたインド太平洋」構想にとって、今回のインドにおけるモディ氏の圧勝は、構想の重要なパートナーの勝利という点で今後の構想の安定化という点で歓迎されているわけです。

日本のメディアも、この勝利を安倍晋三首相が唱える「自由で開かれたインド太平洋」構想にプラスになると歓迎しています。

日本経済新聞社説より。

安倍晋三首相が唱える「自由で開かれたインド太平洋」構想でインドは重要なパートナーである。外務・防衛閣僚協議(2プラス2)の開催で合意するなど日印関係は着実に深まっている。インドは気候変動対策に消極的だが、そうした世界的な課題も含めた戦略的な対話を、今後は期待したい。

[社説]モディ首相が負った重い責任  より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45233200U9A520C1SHF000/

産経新聞社説より。

 普遍的価値を共有する日印両国が、力ずくの海洋進出に代表される中国の覇権主義をにらみ連携するのは極めて自然なことだ。

 「自由で開かれたインド太平洋」を実現するため、欠かせないパートナーでもある。

 日印は1年ごとの首脳の往来が慣例化している。安倍晋三首相とモディ氏の間で、日印の協力は、自衛隊とインド軍の共同訓練など防衛分野にもおよび、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)開催でも合意している。

【主張】インド総選挙 対中連携さらに強めたい より
https://www.sankei.com/column/news/190525/clm1905250002-n1.html

興味深いのは朝日新聞社説です。

「自由で開かれたインド太平洋」構想というキーワードを無視します。

逆に、そんな「中国への牽制(けんせい)という目先の利益にのみとらわれる」ことに熱心になるなと安倍首相を牽制、「幅広い国際秩序の安定に役立つ日印関係をめざ」せと主張します。

 モディ氏は日米豪との関係を強める一方、中国やロシアとも首脳会談を行うなど、偏らない外交姿勢を見せている。

 安倍首相はモディ氏と12回会談するなど関係を深めてきた。中国への牽制(けんせい)という目先の利益にのみとらわれることなく、幅広い国際秩序の安定に役立つ日印関係をめざすべきだろう。

(社説)インドの政治 13億人の公平な発展を より
https://www.asahi.com/articles/DA3S14028634.html?iref=editorial_backnumber

・・・

安倍首相が唱え始め、現在では米国も主張し、豪印ASEAN各国などに支持が広がりつつある「自由で開かれたインド太平洋」構想ですが、今回の欠かせないパートナーであるインドにおける総選挙結果に対する社説論説で、朝日新聞だけは日本の基本外交政策「自由で開かれたインド太平洋」構想を無視、日本政府とは真逆とも言える主張をしています。

中国への牽制(けんせい)という目先の利益にのみとらわれることなく、幅広い国際秩序の安定に役立つ日印関係をめざすべき(朝日社説)

安倍憎しからとはいえいくら言い出しっぺが安倍さんだからといって日本の基本外交政策「自由で開かれたインド太平洋」構想をその名称さえ論説で使わないのです、無視してしまうのです。

私は朝日新聞の論説がしばしば見せるこのような知的狭量さに辟易してしまいます。



(木走まさみず)

朝日新聞論説室はどうやら韓国政府よりも日本政府の方がお嫌いらしい〜この局面で「日本政府もしっかり歴史に向き合え」と要請する朝日新聞社説

元徴用工をめぐる問題は新たな段階に入ったと言えるでしょう。

委員会の設置要請に踏み切るのは、1965年の日韓請求権協定締結から初めてです。

韓国大法院(最高裁)が日本企業に対して元徴用工らへの賠償を命じる判決を下した問題で、日本政府は2019年5月20日、日韓請求権協定に基づいて、第三国を交えた仲裁委員会の設置を韓国政府に要請しました。これまで日本政府は、協定に基づく「政府間協議」を求めていましたが、韓国側が応じないため、委員会の設置要請に踏み切ったのです。

河野太郎外相は5月21日の記者会見で、

「(韓国側が政府間協議に応じるまでには)多少時間がかかるだろうということは覚悟していたし、しばらく、4か月以上待っていた」

そうした矢先に、韓国側の「取りまとめ役」のはずの李首相から「限界」発言が出たため、

「それを聞くと、我が方としてもこれ以上待つわけにもいかない」

として、委員会設置手続きの要請に踏み切ったと説明しています。

この日本政府の新たな動きを受けて翌22日、朝日、毎日、産経の3紙がこの問題を社説にて取り上げています。

朝日新聞社説】徴用工問題 韓国が態度を決めねば
https://www.asahi.com/articles/DA3S14024171.html?iref=editorial_backnumber
毎日新聞社説】徴用工で「仲裁委」要請 争い解決に向けた一歩に
https://mainichi.jp/articles/20190522/ddm/005/070/061000c
産経新聞社説】韓国に仲裁委要請 法治国家なら即対応せよ
https://www.sankei.com/column/news/190522/clm1905220003-n1.html

三紙社説を読み比べてみましょう。

産経社説は「ここまで事態をこじらせた責任はすべて韓国政府にある」と言い切ります。

 仲裁委の設置は、請求権協定に関する紛争などが生じた場合、定められた最終段階である。ここまで事態をこじらせた責任はすべて韓国政府にある。

 韓国は深刻に受け止め、ただちに対応すべきだ。

李洛淵首相の「政府が対応するのは限界がある」発言には、「国家間の約束を順守する国際法の大原則を知らぬのか」と一刀両断です。

 協定に沿い今年1月に韓国政府に協議を求めたが、なしのつぶてだ。対応策を検討していたはずの李洛淵首相は今月15日、ソウルで行われた討論会で「政府が対応するのは限界がある」と述べたという。相変わらず司法判断に責任転嫁している。

 国家間の約束を順守する国際法の大原則を知らぬのか。

 岩屋毅防衛相の「関係に戻したい」発言は、「韓国に「日本は甘い国だ」と侮らせる誤った態度だ」と批判し、社説の最後は「法を守らぬ国とまともな外交関係など築けようか。融和的な態度は反日行動を助長するだけだ」と岩屋批判で結ばれています。

 岩屋毅防衛相は講演で「いろいろ問題は起きたが、元の関係に戻したい」と、日韓防衛相会談実現に意欲を示した。それで関係は戻らないし、韓国に「日本は甘い国だ」と侮らせる誤った態度だ。自衛隊機への火器管制レーダー照射を謝罪させるのが先である。

 法を守らぬ国とまともな外交関係など築けようか。融和的な態度は反日行動を助長するだけだ。

毎日社説は、韓国政府は「日本企業に損害が出る前に何らかの手を打つ必要があった」と指摘、「司法が異なる判断をしたのなら、国内で法整備するなどして対応すべきである。それが国際法の要請するところ」と、国内法より国際法を優先すべきと主張します。

 韓国政府は、今年1月に日本が求めた協定に基づく政府間協議に応じなかった。既に原告側は、被告企業からの現金受け取りのため手続きを進めている。日本企業に損害が出る前に何らかの手を打つ必要があったということだろう。

 韓国政府もこれまでは、徴用工問題は協定で解決済みとの見解だった。司法が異なる判断をしたのなら、国内で法整備するなどして対応すべきである。それが国際法の要請するところであろう。

日本政府が要請した「仲裁委に諮るというのは請求権協定に明記された正当な手続き」だと主張します。

 このため、政府間の協定で定められた仲裁委の設置にも応じない可能性がある。しかし、争い解決のためにまずは政府間協議を行い、それでも解決しない場合は仲裁委に諮るというのは請求権協定に明記された正当な手続きである。

韓国政府は「争い解決に道を開く仲裁委の設置に速やかに同意すべき」であり、「そのために両首脳は率直に向き合うべき」であると、社説は結ばれています。

 韓国政府は、対日関係悪化を放置しているわけではないと反論する。ならば、争い解決に道を開く仲裁委の設置に速やかに同意すべきだ。感情を排し、制度に基づく解決策を模索してほしい。

 そのためにも、両首脳は率直に向き合うべきだ。来月大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議はその好機となろう。

さてこの2紙の社説は、韓国政府に対し「ここまで事態をこじらせた責任はすべて韓国政府にある」(産経社説)、「司法が異なる判断をしたのなら、国内で法整備するなどして対応すべきである。それが国際法の要請するところ」(毎日社説)と、表現の強弱はあるものの批判と強い要請を繰り返しています。

さてこの局面で興味深いのが朝日社説の論説です。


社説は「歴史問題は双方が神経を注ぐべき難題であるのは論をまたない」と非常にゆるい切り口から始まります。

 「未来志向の韓日関係」という言葉を、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領はいくども訴えてきた。

 過去を忘れることはできないが、それだけにとらわれて今と未来を生きる国民の利益が損なわれてはならない。そんな政治をめざす決意ではなかったか。

 戦時中に日本に労務動員された徴用工問題をめぐり、日韓の摩擦が強まっている。歴史問題は双方が神経を注ぐべき難題であるのは論をまたない。

「双方が神経を注ぐべき難題」なのだけど「いまの事態打開には、韓国政府の決断が必要」だと論を展開します。

 ただ、動きが差し迫っているのは韓国側だ。日本企業に対し、財産処分などの措置がとられる可能性が高まっている。

 いまの事態打開には、韓国政府の決断が必要である。文大統領はこの問題にどう向き合うか知恵を絞ってもらいたい。

「日本政府が対抗措置をとり、双方の経済活動に打撃を及ぼす」ならば、「こんな不毛な報復合戦は、国民感情に深いしこりを残す」、なので「韓国政府はこれまでの日韓関係の土台である協定の枠内で解決をめざしてほしい」と懇願します。

 韓国では李洛淵(イナギョン)首相が今月、「韓国政府だけの対応には限界がある」と発言した。消極的な姿勢の背景には、国内世論を気にして判断を避けたい思惑があるのだろう。

 しかしこれ以上問題を放置するのは危うい。元徴用工らの弁護団は日本企業の株式の現金化に着手した。実害が生じれば、日本政府が対抗措置をとり、双方の経済活動に打撃を及ぼす。

 こんな不毛な報復合戦は、国民感情に深いしこりを残す。負の連鎖を避けるためにも、韓国政府はこれまでの日韓関係の土台である協定の枠内で解決をめざしてほしい。

最初からゆるい雰囲気の朝日社説なのですが、ここから社説の結びまで、朝日社説の矛先(ターゲット)はなんと日本政府に向けられます。

朝日社説は日本政府に対して「しっかり歴史に向き合い、冷静な対応を尽くすよう心がけねばなるまい」と「歴史に向き合え」と要求し、「日韓の国交も、時の政権同士がたゆまず話し合い、克服してきた歩みを思い起こしたい」と結ばれています。

 日本政府側もしっかり歴史に向き合い、冷静な対応を尽くすよう心がけねばなるまい。

 仲裁委の設置は、確かに日韓協定に定められている。ただし一度も互いに設置を求めなかったのは、過去をめぐる敏感な感情に配慮してのことでもある。

 仲裁委は事実上、韓国の同意がなければ立ち上がらない。日本側はその場合、国際司法裁判所への提訴も検討するとしているが、これも韓国が応じなければ始まらない。

 隣国間の論争をめぐり種々の駆け引きや仲裁があろうとも、真の解決は当事者間の対話でしか実現しない。半世紀を超えた日韓の国交も、時の政権同士がたゆまず話し合い、克服してきた歩みを思い起こしたい。

うーん。

日本政府が仲裁委員会の設置を韓国政府に要請、この問題は新たな段階に入りました。

この局面で韓国政府の対応を一切批判しない朝日新聞社説なのであります。

それどころか、日本政府に対し「しっかり歴史に向き合い、冷静な対応を尽くすよう心がけねばなるまい」と主張、最後には「時の政権同士がたゆまず話し合い、克服してきた歩みを思い起こしたい」とし、あたかもこの局面をまねいたのは、韓国政府だけでなく日本政府も同罪であると言わんばかりな表現です。

朝日新聞よ、この局面でも日本政府も「しっかり歴史に向き合え」ですか?

朝日新聞論説室はどうやら韓国政府よりも日本政府の方がお嫌いなのかしら?

こうして他紙と読み比べると浮き彫りになりますが、本当に特異な新聞なのであります。

読者のみなさん、いかがお感じですか?

ふう。



(木走まさみず)

この局面で韓国擦り寄り発言が止まらない「パチンコ」議員岩屋毅防衛相

岩屋毅防衛相は自他共に認める「パチンコ」議員であります。

岩屋氏の議員活動の中で韓国との関わりで気になる部分を押さえおきます。

岩屋氏は大学在学中は早稲田大学雄弁会に所属し、また選挙でのアルバイトを通じて故鳩山邦夫衆議院議員の事務所に勤務し、大学卒業後は鳩山氏の秘書を務めています。

鳩山邦夫氏といえば、パチンコチェーンストア協会の重鎮の政治分野アドバイザーでありました。

で、岩屋氏は鳩山氏死去後、パチンコチェーンストア協会政治分野アドバイザーを引き継いでいます。

ご覧のとおり、自民党議員政治分野アドバイザー(25人)の中でナンバー3です、IR議連幹事長でもあります。

パチンコチェーン協会 理事・役員・会員リスト
f:id:kibashiri:20190520155939p:plain
http://www.pcsa.jp/member.htm

さて、パチンコチェーンストア協会も例外ではありませんが、パチンコホールオーナーの9割近くが在日韓国・朝鮮人であります、この協会も複雑な問題を内包しています(『AERA』(2006年2月13日号)では「全国のパチンコ店オーナーの出自の内訳は、韓国籍が50%、朝鮮籍が30〜40%、日本国籍、華僑が各5%」としています)。

パチンコホール業界トップのマルハンの会長である韓国系日本人である韓昌祐は、韓国への送金関係の他、「パチンコ経営をしている北朝鮮に忠誠を誓う在日韓国・朝鮮人は、その収益を北朝鮮へ送金していることは確実である」と、南北朝鮮半島との関係も明言しています。

このあたりのパチンコ業界の闇については6年前に警察利権も含めて検証しました。

お時間のある読者はご一読あれ。

政治家やマスメディアが絶対触れない深刻でダークなパチンコ業界問題
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20120527/1338106493

さてです。

そんな岩屋毅防衛相の韓国擦り寄り発言が止まりません。

「いろいろ問題は起きたが、(韓国と)元の関係に戻したい」と別府市の講演で発言しました。

18日付け産経新聞記事から。

対韓関係「元に戻したい」岩屋防衛相意欲
2019.5.18 16:49政治政策

 岩屋毅防衛相は18日、大分県別府市で講演し、韓国海軍艦艇による自衛隊機への火器管制レーダー照射問題などで冷え込んでいる韓国との関係改善に意欲を示した。「いろいろ問題は起きたが、元の関係に戻したい。良好な関係をつくることが日本の安全保障のためになり、国と地域の安定につながる」と述べた。

 岩屋氏は、北朝鮮の脅威を理由に「日米韓がしっかりタッグを組まなければ、国の安全を守っていくことはできない」と強調。今月末からシンガポールで開かれるアジア安全保障会議に自身が出席するとし、日韓防衛相会談の実現を目指す意向を示した。

 岩屋氏は「できれば今年中に中国にも行きたい」とも述べ、日中の防衛交流拡大にも前向きな姿勢を示した。

https://www.sankei.com/politics/news/190518/plt1905180020-n1.html

この発言は日本政府要人として有り得ません。

徴用工問題でまさに対韓国報復施策を準備中だからです。

徴用工問題で日本政府はかねて韓国側に「あらゆる選択肢を検討している」と通告してきました。

「企業に不利益が及ぶことになれば、何らかの対抗措置を取らざるを得ない」との最後通告しています。

徴用工問題で韓国は最後まで国際法よりも国内法を優先し、ついに日本企業の資産の現金化申請というトリガー(ひきがね)を引いてしまったのです、韓国は二度と戻れない「川」を渡ってしまいました。

韓国のこの出鱈目な認識を改めさせるには、報復的施策しかありませんのです。

このタイミングで対韓関係を「元に戻したい」と日本からラブコールしてどうするのですか。

そもそもこの岩屋毅防衛相、昨年12月にも、韓国海軍レーダー照射問題において「韓国側を信じたい」発言をして顰蹙(ひんしゅく)を買っていました。

当時の共同通信記事から。

韓国側を「信じたい」と岩屋防衛相

2018/12/21(金) 20:50配信 共同通信
 岩屋防衛相はBSフジ番組で、韓国によるレーダー照射が元徴用工判決など日韓関係の悪化に起因するかを問われ「そうであってほしくない。(元徴用工などの)問題が積み重なってのことではないと信じたい」と述べた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181221-00000231-kyodonews-pol

なんでしょうか、「韓国を信じたい」「韓国との関係を元に戻したい」一連のこの韓国擦り寄り発言は・・・

小野寺五典前防衛相の毅然とした態度が懐かしいです。

関連エントリー

日本の旗色を鮮明にした小野寺五典防衛相発言
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20170812/1502519206

この局面で「パチンコ」議員岩屋毅防衛相の韓国擦り寄り発言が止まりません。

ふう。



(木走まさみず)

日本の経常収支速報値について徹底検証〜日本の場合やはり経常収支の黒字は素晴らしい理由

経常収支は一国の国際収支を評価する基準のひとつで、「貿易収支」「サービス収支」「所得収支(第一所得収支)」「経常移転収支(第二所得収支)」の4つから構成されます。
「貿易収支」はモノの輸入と輸出の差額から算出。「サービス収支」はサービス取引を表す。「所得収支」は対外直接投資や証券投資の収益で、「経常移転収支(第二所得収支)」は政府開発援助(ODA)のうちの医薬品など現物援助を表す。従って経常収支は次の式であらわすことになります。

経常収支(a) = 貿易収支(b) + サービス収支(c) + 所得収支(d)

さて14日の財務省の発表によれば、昨年度1年間の日本の経常収支は、19兆4144億円の黒字でした。

黒字額が5年ぶり減少(前年度より2兆7605億円減少)した理由は、エネルギー価格の高止まりで輸入額が伸びた一方、輸出が伸び悩んだことで、貿易収支の黒字額が7068億円と、前の年度に比べて3兆8000億円を超える大幅な減少になったためです。

一方、海外との利子や配当のやり取りを示す「第一次所得収支」は、日本企業が海外の子会社から受け取る配当が増えたことなどから、21兆652億円の黒字と過去2番目の黒字額になりました。

(関連記事)

昨年度の経常収支 黒字額が5年ぶり減少
2019年5月14日 11時44分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190514/k10011915381000.html

財務省のサイトでは国際収支の今回速報値がCSVファイルで公開されています。

国際収支の推移
6s-1-2 国際収支総括表【年度・半期】
6s-2-2 サービス収支【年度・半期】
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/bpnet.htm

『6s-1-2 国際収支総括表【年度・半期】』をもとに我が国の経常収支の推移を数値で見てみましょう。

■表1:経常収支の推移(単位:億円)

年度 経常収支(a) 貿易収支(b) サービス収支(c) 所得収支(d)
平成8年度 73,709 87,601 -68,393 54,501
平成9年度 131,632 136,920 -64,152 58,864
平成10年度 143,495 160,965 -65,335 47,865
平成11年度 136,050 138,892 -60,398 57,557
平成12年度 135,804 117,226 -53,653 72,231
平成13年度 113,998 93,558 -54,991 75,431
平成14年度 131,449 119,243 -55,635 67,841
平成15年度 178,305 135,054 -39,001 82,252
平成16年度 192,342 138,639 -43,014 96,717
平成17年度 194,128 110,677 -36,604 120,055
平成18年度 218,865 121,176 -39,317 137,005
平成19年度 243,376 136,862 -45,960 152,474
平成20年度 106,885 26,683 -35,561 115,763
平成21年度 167,551 80,250 -31,812 119,113
平成22年度 182,687 80,332 -25,155 127,511
平成23年 81,852 -22,097 -28,210 132,158
平成24年 42,495 -52,474 -40,280 135,248
平成25年度 23,929 -110,455 -34,330 168,714
平成26年 87,031 -66,389 -27,728 181,147
平成27年 182,957 2,999 -13,140 193,098
平成28年 216,686 57,863 -13,779 172,602
平成29年度 221,749 45,396 -4,567 180,920
平成30年度(P) 194,144 7,068 -6,378 193,454

(P)は速報値
財務省公開資料より『木走日記』作成

見やすいようグラフ化してみます。

■図1:経常収支の推移(単位:億円)
f:id:kibashiri:20190519140840p:plain
財務省公開資料より『木走日記』作成

経常収支(a)は貿易収支(b)の増減に連動する形でアップダウンをしております。

日本の貿易収支(b)は、平成20年度当たりから輸出が振るわず輸入が拡大する赤字が拡大し、平成25年度には14兆4000億の巨大赤字となり、同年度の経常収支(a)の黒字も2兆3900億にまで縮小、このままでは経常収支(a)も貿易収支(b)の巨大赤字に引っ張られ「赤字化」するのではないかと、経済評論家がざわつきましたが、グラフでも確認できるように貿易収支(b)翌年度から回復基調になり、経常収支(a)も20兆円前後の黒字になっております。

ここ10年の我が国の貿易収支(b)の推移を見れば、残念ながら高度成長期以降恒常的に黒字を維持し日本の経常収支の黒字化と経済成長を支えてきた力強さはなくなりました。

貿易収支(b)の代わりに現在の日本の経常収支の黒字を支えているのは所得収支(d)であることは一目瞭然であります。

30年度速報値で見ても経常収支(a)194,144億円の内訳は、貿易収支(b)7,068億円、サービス収支(c)-6,378億円、所得収支(d)193,454億円であり、経常収支(a)の黒字をほぼ所得収支(d)だけで支えていることが見て取れます。

グラフでも日本の所得収支(d)の黒字はほぼ右肩上がりに増加しております。

海外への投資によるもうけから海外からの投資によるもうけを引いた所得収支(d)が増加しているのは、単純に日本の海外資産が増えておりそこからの収益も増えていることを示しています。

財務省のサイトで確認すれば、平成29年末の段階で我が国の海外資産は1,012兆円4310億円、海外負債は683億9840億円であり差額の328兆4470億円が我が国の海外純資産となります。

平成29年末現在本邦対外資産負債残高
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/2017.htm

現在日本はこの29年度末の数値で27年連続で世界最大の債権国となっております。

(参考記事)

27年連続・・・日本は世界最大の債権国「失われた20年なんて大嘘だ」=中国
http://news.searchina.net/id/1660080?page=1

さて今一度『図1:経常収支の推移(単位:億円)』に着目しますと、サービス収支(c)が地味に右型上がりに改善していまして、その赤字額は平成8年の-6兆8,393億円から平成30年には-6,378億円まで減少しており、来年度にはわが国初のサービス収支(c)の黒字化も予想されています。

財務省サイトの『6s-2-2 サービス収支【年度・半期】』からサービス収支の内訳をグラフ化してみましょう。

■図2:サービス収支の推移(単位:億円)
f:id:kibashiri:20190519130424p:plain
財務省公開資料より『木走日記』作成

外国人旅行者の増加にともない、ここ5年で我が国の旅行収支は黒字となり、その黒字額は、前の年度より4700億円余り増え、2兆4890億円と過去最大の黒字になりました。

昨年の来日旅行者も3119万人2000人で過去最高更新しています、また来年は東京オリンピック効果も期待できるので、旅行収支黒字が過去最高を更新し、結果わが国初のサービス収支(c)の黒字化が確実視されているわけです。

(参考記事)

2018年のインバウンドは3119万人2000人で過去最高更新。自然災害などの影響も12月までに回復
https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1164905.html

まとめます。

経済学的には、経常収支の黒字、赤字は一指標にすぎなくそれ自体の数値のもつ意味は善悪ではありません。

しかし、日本の場合やはり経常収支の黒字は素晴らしいと言えるでしょう。

ひとつは、1000兆円を越える日本政府の借金です。財政赤字が巨額で借金額も巨額なのに、日本政府が破産せずにその信用度が国際的に極めて高いのは、日本政府が借金している相手が日本人から借りているからです。

もし日本の経常収支が赤字に陥りその赤字が続くと、対外純資産がマイナスになり、日本全体として外国から借金することになりますから、仮定の話ですが、日本政府も外国人から借金せざるを得なくなりますが、外国人から借金をしようと思うと、高い金利を払う必要が出てくるでしょう。破産するかもしれない政府に喜んで金を貸してくれる外国人投資家は少ないからです。

多くの債務国が陥ってしまうこの悪夢のような信用失墜から、日本が安心して距離をもっていられるのはやはり経常収支の恒常的な黒字が大きいのです。

もうひとつ、経常収支の黒字は素晴らしいと言えるのは、少子高齢化が進みつつあることです。

将来徐々にですが「現役世代が高齢者の介護をしている割合が増え、製造業で働ける人が減少する」国になってしまう可能性は大きいです。

それは輸出が激減し輸入が激増することを意味し、貿易収支(b)はさらに悪化し巨大な赤字が常態化する可能性があります。

輸出が減って日本が輸入する外貨がなければ、現在、日本が経常収支黒字で外国から稼いでいる外貨は、対外純資産の増加となって外国に貸し出されていますから、将来に渡り所得収支(d)の黒字をなんとか維持できれば、国家としては計算上、海外資産を担保(減らして)に輸入することができるわけです。

今回は日本の経常収支の速報値について検証いたしました。



(木走まさみず)

辞職勧告決議は効果も効力もないただの野党によるデモンストレーションだ

さて、丸山氏辞職勧告案を野党6党派が提出であります。

産経新聞電子版速報記事から。

丸山氏辞職勧告案、野党6党派が提出 立民など、与党に賛成呼び掛け
2019.5.17 15:38

 立憲民主など野党6党派は17日午後、北方領土を戦争で取り返すことの是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員の議員辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。自民、公明両党には決議案へ賛成を呼び掛ける方針。両党は対応を協議する。決議案は丸山氏に対し「国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭いがたい」とした。

 衆院議院運営委員会の野党筆頭理事を務める立民の手塚仁雄氏は17日、議員辞職決議に関し「重たい決議で慎重に扱うべきだが、丸山氏の暴言は限度を超えている」と記者団に理由を説明した。

 提出に先立ち、手塚氏は与党筆頭理事である自民党菅原一秀氏と国会内で会談し、決議案の共同提出に加わるよう要請した。菅原氏は決議案の件名や中身を変更するように求めて調整したが、折り合わなかった。

https://www.sankei.com/politics/news/190517/plt1905170013-n1.html

うむ、「国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭いがたい」(立民議員)との提出理由であります。

実際の丸山氏の発言はこちらで確認できます。

「戦争で取り返すの賛成か反対か」丸山議員の音声データ:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASM5F7G81M5FIIPE02T.html

ロシアが実効支配する北方領土の国後(くな・しり)島に5月11日、元島民らが参加する「ビザなし交流」の訪問団が訪れました。丸山穂高衆院議員もそのメンバーでした。

その夜に島内の施設で団員らの懇談会があり、団長で国後島出身の大塚小彌太さん(89)に、同行記者団が取材をしていました。そこへ酒に酔った丸山議員が割り込みました。

丸山議員は「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と聞きました。大塚さんは「戦争なんて言葉は使いたくないです」「戦争はするべきではない」と繰り返しましたが、丸山議員は「戦争しないとどうしようもなくないですか」と問い続けました。

これですね、TPOをわきまえないどうしようもない発言なのはその通りで、国会議員として批判されても致し方ないでしょう。

内容以前に、酒を飲んで民間人に絡むようなくどい発言をしてはダメダメです。

さらに「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と日本外交と安全保障の根幹に関わる議論をするとなれば、その相手は民間人のご高齢の団長であるはずがありません。

まったくトンチンカンなTPOを無視した発言だと申せましょう。

さてです。

丸山氏が戦争を煽っているかのような報道は例によって発言の一部を切り取った過熱報道といえましょう。

丸山穂高氏は、「戦争で取られたものを取り返すのは一筋縄でいかない」と述べています。

f:id:kibashiri:20190517172935p:plain
https://twitter.com/maruyamahodaka

北方領土という戦争で取られたものをどのように取り返すのかというのは本当に一筋縄ではいかないと改めて痛感したと言っていました。

彼としては膠着しているように見える北方領土をめぐる日露外交に、一石を投じるつもりで発言をしたのではないでしょうか。

それにしてもこの発言に、国会議員を辞めなければいけないほどの重大な問題が含まれているとは思えません。

そもそも議院運営委員会における国会議員辞職勧告決議ですが、法的拘束力はないうえに、過去事例では8回提出されていますが、2002年(平成14年)5月14日衆議院鈴木宗男氏に対する決議案が唯一可否同数(委員長決裁で否決)ですが、他7回は全て否決されています。

効果も効力もないただの野党によるデモンストレーションに過ぎません。

このレベルの発言で辞職勧告決議が提出されるとなれば、この先例は野党にとりブーメランになりかねません。




(木走まさみず)

元祖征韓論の吉田松陰先生を尊ぶ校歌の日本の大学でアツく学んだ文大統領の娘

韓国・光州市にある私立学校が12日、従来の校歌が「親日人名事典」に名前のある音楽家によって作られたことを理由に、校歌を新しくすると発表しました。

韓国で「親日派」が作曲した私立学校の校歌を変更 他校でも議論進む
http://news.livedoor.com/article/detail/16448641/

記事によれば「「親日校歌」を変更する学校が今後さらに増える」と予想されています。

 韓国の教育界では「親日校歌」を変更する学校が今後さらに増えるとの予想が示されている。光州市教育庁の関係者は「市内の中学・高校13校と大学4校が、親日人名事典に登載されている音楽家4人の作った校歌を採用しているが、このうち15校で校歌変更の議論が進んでいる」と話した。また、韓国にある17の市・道教育庁のうち仁川・全羅北道忠清北道慶尚南道など10の教育庁親日校歌の洗い出しを進めている。ソウル市や京畿道などでも全国教職員労働組合(全教組)が「親日校歌を変更せよ」と圧力をかけている状況だ。

うむ、全国教職員労働組合(全教組)と言えば文大統領の有力支持団体であります。

なるほど、文大統領お墨付きの「親日校歌」狩りが始まった韓国なのであります。

さてと。

日本の話です。

私塾国士舘玄洋社の流れを組む青年大民團の思想を広める教育機関として設立されました。

玄洋社は、1881年明治14年)に結成されたアジア主義を抱く政治団体で、日本で初めて誕生した右翼団体とも称されています。

その思想は吉田松陰の対外思想に強く影響を受けています。

松陰は琉球・朝鮮の属国化、満洲・台湾・フィリピンの領有を主張しています。

『幽囚録』で「今急武備を修め、艦略具はり礟略足らば、則ち宜しく蝦夷を開拓して諸侯を封建し、間に乗じて加摸察加(カムチャッカ)・隩都加(オホーツク)を奪ひ、琉球に諭し、朝覲会同すること内諸侯と比しからめ朝鮮を責めて質を納れ貢を奉じ、古の盛時の如くにし、北は満州の地を割き、南は台湾、呂宋(ルソン)諸島を収め、進取の勢を漸示すべし」と記し、北海道の開拓、琉球(現在の沖縄。当時は半独立国であった)の日本領化、李氏朝鮮の日本への属国化、満洲・台湾・フィリピンの領有を主張した。

フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』 より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E6%9D%BE%E9%99%B0

国士舘大学のサイトで確認すれば、その校章も「松陰の熱き血潮」、「七生報国の士を象徴する七片の楓葉」と決まったわけです。

全学の総意で決めた「楓」

校章
国士舘が麻布笄(こうがい)町(現在の南青山)から、世田谷の松陰祠畔に移ったのは1919(大正8)年。そして、その前年、国士舘創設の同人たちは揃って松陰神社に詣でています。激動の幕末期、思想家、教育家として峻烈な生きざまを貫き通した吉田松陰に寄せる彼らの崇敬の念は深く、新生国士舘松下村塾の系譜を継ぐ学塾に育て上げたいと請い願ったのです。社の境内には大和魂を表する桜樹と、松陰の熱き血潮を彩った楓の古木があります。国士舘高等部(現在の大学の前身)建学式の朝、初代舘長であった柴田德次郎は、朝日を受けて真紅に映える楓を見て松陰の赤心に思いを致し、胸中ひそかに楓を校章にと意を決したといいます。1920(大正9)年の春になって柴田舘長は、その思いを国士学生会(学生の自治組織)に諮り、学生会もまたこれに賛同し、全学の総意によって、校章は「七生報国の士を象徴する七片の楓葉」と決まったのです。

https://www.kokushikan.ac.jp/information/about/school_badge.html

同ページには国士舘大学舘歌(校歌)が載っています。

1.
霧わけ昇る陽(ひ)を仰ぎ
梢に高き月を浴び
皇国(みくに)に殉(ゆる)す大丈夫(ますらお)の
ここ武蔵野の国士舘
2.
松陰の祠(し)に節を磨(ま)し
豪徳の鐘気を澄(すま)す
朝な夕なにつく呼吸(いき)は
富嶽颪(おろし)の天の風
3.
区々現身(うつしみ)の粗薪(あらまき)に
大覚(だいかく)の火を打ち点(とも)し
三世十方焼き尽す
至心の焔(ほのお)あふらばや

https://www.kokushikan.ac.jp/information/about/school_badge.html

初代館長である柴田德次郎作詞の館歌でありますが、うむ、1番の「皇国(みくに)に殉(ゆる)す大丈夫(ますらお)」、熱血であります、2番の「松陰の祠(し)に節を磨(ま)し」、松陰先生の志を尊び、3番の「三世十方焼き尽す」、国士舘の心は無限の時間と無限の空間に燃え広がるのだ、と。

熱い館歌であります。

吉田松陰の『幽囚録』で主張された琉球の日本領化、朝鮮の日本への属国化、満洲・台湾・フィリピンの領有、等は、元祖「征韓論」とも評され、その後の明治以降の日本政府の外交政策に大きな影響を与えたのであります。

今にして思えばですが、もし「征韓論」に与しないで、日本が朝鮮半島で別の外交政策を取ってたらば歴史はどのような展開を見たことでしょう、まあ歴史に「もしも」は御法度でありましょう、今となっては詮無いことでございます。

さてです。

今確認したとおり、現在に至るまで、その校章・校歌に色濃く元祖征韓論吉田松陰先生の強い影響を受けている国士舘大学なのであります。

そもそも我が国元祖右翼団体が設立した国士舘大学は日本の大学の中でも自他共に認める右派、それも極めて右派な大学、卒業生にはたくさんの警察官もおわします。

さて韓国大統領は「ウソツキ」だと朝鮮日報記事がお怒りです。

【コラム】2年前の文大統領就任演説、読み返したら「うその饗宴」だった
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/05/10/2019051080164_3.html

記事によれば「大統領は反日だが、その娘は日本の極右団体が設立した大学を卒業」と暴露しています。

大統領は反日だが、その娘は日本の極右団体が設立した大学を卒業した。その大学の校歌は征韓論創始者を見習えと歌っている。この大統領の娘による海外移住とそれに伴って税金が使われた理由は今も説明されていない。現実はこうだが、文大統領は就任演説で「公正と正義」を約束していた。

「その大学の校歌は征韓論創始者を見習えと歌っている」って、もはや国士舘大学館歌以外考えられません。

文大統領の娘タヘ氏は日本の国士舘大学に留学、現在は大の親日国タイに国費で家族ぐるみで海外移住中なのであります。

お父さんは朝鮮半島で「親日校歌」狩りに熱心で、娘が日本で元祖征韓論吉田松陰先生を尊ぶ校歌の大学でアツく学び現在は朝鮮半島を脱出、国費で海外移住中なのであります。

文大統領、カッコ悪くありませんか?

なんかへんな感じです。

読者の皆さん。

本件、いかがお考えですか。



(木走まさみず)